町の明かりが消えない東京。僕の田舎は21時を過ぎると信号が点滅するような世界。辺りは真っ暗で虫の音が聞こえ、きれいな星が空いっぱいに広がっている。部活帰りは毎日のようにこの世界にいた。何度か警察に補導されたことがあるが、何度も野球の練習の帰りですと伝えたことを思い出す。今ではほとんど見ることがなくなったこの世界だが、時折見たくなる時がある。それが、帰省のタイミングなのかも知れない。
人は誰しも昔見た景色や思い出を持っている。そこに秘める思いは人によって違う。だから、共感することはできない。でも、新たに誰かと想像したり作ることはできる。段々と大人になるにつれてそういったことをすることはなくなった。
ただ、一度きりの人生。人生が終わるときに、あの時にあんな景色を見たな、とか、あれを見ると若かった頃を思い出すな、とか、あの時は仕事に必死で自分に余裕がなかったな、とか様々な感情を思い出すことができる。そんな思い出を作りたい。
倉科 あつきの写メ日記
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過去に見た景色倉科 あつき