【オリエンタリズム】- 真木 春明(FIRST CLASS)- 出張ホスト

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    オリエンタリズム

    2024年4月3日に実施したツイキャスで触れた話題のひとつ。


     


    「オリエンタリズム」


     


    オリエンタリズムとは,ざっくり言うと,西洋からみた東洋(西アジア)への憧れを指し,「東洋趣味」「東洋思想」などと訳されます。


    エドワード・サイードという文学研究者が,1978年に『オリエンタリズム』という著書を上梓し,この言葉は有名になりました。


    ちなみに1993年に日本語の文庫版も出版されており,今でも簡単に購入できます。


     


     


     


    エドワード・サイードの『オリエンタリズム』では,西洋から見た東洋は幻想であり,支配的であると批判されています。


    どういうことか。


     


    当時,西洋の人々は東洋の人々について,「好色・怠惰で,自分の言語や地理等を把握できず,独立国家を運営もできず,肉体的にも劣った存在である」というイメージを抱いており,文学や芸術の領域において,そのようなイメージで東洋が表現されていました。


     


    しかし,多くの西洋の人々は,実際に東洋の人々と接しているわけではないし,まして東洋の人々そのものでもありません。


    にも関わらず,「東洋の人々はこういうものだ」と決めつけ,そのイメージを消費していたのです。


     


     


     


    ここには,西洋と東洋という二項対立の問題や,差別,偏見の問題が含まれています。


    この問題を,エドワード・サイードは批判したわけです。


     


    そして,この考え方は,男性・女性の二項対立の図式にも援用されています。


    例えば,男性が女性学研究に取り組むことはできるのか,男性中心の社会が女性をどのように扱うか,といった具合です。


     


    実際,オリエンタリズムにおける東洋の人々は,弱くて,性的に搾取可能な存在として,女性的に描かれていた,という指摘もあります。


     


     


     


    オリエンタリズムを巡る議論は,異国文化への理解の難しさを表しており,また,当事者ではないものが当事者を語ることの危険性を示唆しています。


    今日における多くの研究成果や常識とされているような理論や定義の多くは「白人の男性によって作られた」とも言えるわけです。


     


    私が,私ではない誰かについて考えるとき,そこには,私というフィルターを通した誰かしか映らないということに,意識的になる必要があるのかもしれません。


     


     


     


    【出典】


    エドワード・W. サイード(著),今沢 紀子(翻訳)(1993).『オリエンタリズム』 平凡社


     


     


     


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