「横須賀」
なぜ、夏になると人は海を目指すのか。
その理由は、少なくともここ現代日本においては<蒸し暑さ>の感覚にあると思う。
雨に濡れっぱなしの靴、衣類の汗と蒸れ。部屋干し中の縁側、或いは通り雨の後の風が止んだ路上。
そういった不快な湿度から逃れて南へ、尚、南へ。
莫大な海水を湛え、実際は高湿度ながらも、海沿いは不思議にからりと涼しい。
海陸の熱交換だとか昼夜の海陸風だとか、複雑な計算のことは知らない。
きっと潮の香りと海風が、私達を心地よく爽やかな気分にさせるのだろう。
そういうことでいい。
そういう訳で、この夏は横須賀に行きたいと思う。
お台場でも、浦安でも、横浜でもなく、横須賀。
三浦半島の起伏に満ちた地形が、街の景色を分断、或いは繋ぎ、歩一歩、私達を次の驚きへ誘う街へ。
異国風の街並と舗装が、グアムやハワイ、沖縄にも通じるような、直視に堪えない眩しさを振り撒く軍港の街へ。
この夏、横須賀へ行ってみませんか。