17歳、夏。
花火大会の日。
浴衣姿の人々で溢れかえる駅のホーム。
日が落ちても蒸し暑さで流れる汗。
慣れない自分の浴衣姿にソワソワ落ち着かない。
(着方ってこれで合ってんのかな?)
携帯の画面を確認。
まだか、まだか。
「着いたよ。」
少し照れたような顔でこちらに手を振りながら、君は現れる。
その瞬間に、胸が高鳴るのを感じた。
初めて見る君の浴衣姿に、17歳の少年の心は奪われる。
少女のあどけなさと、少し大人びた色気がまざった君の浴衣姿。
「綺麗だね。」
言葉はもうそれしか出てこない。
いつもと違う君の表情と佇まいに、ドキドキせざるを得なかった。
「行こう。」と手を引いて、人々でごった返す屋台の通りを歩く。
「わたあめ食べたい!」と無邪気にはしゃぐ君の姿に、思わず見惚れてしまう。
お互いに好きなものを買って、シートに座る。
辺りが段々と暗くなり、いよいよ打ち上がり始めた花火。
夜空に煌めく大輪の花々。
ふと目をやると、花火に照らされた君の横顔。
花火は間違いなく綺麗だった。
でも花火よりも君を見ていたかった。
もう戻ることはない、忘れられないひと夏の思い出。
これが青春だったんだと気付くのは、大人になってから。
片桐 聖那の写メ日記
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あの、夏の思い出を今でも僕は忘れない片桐 聖那