小学生時代を思い出す。
親戚の家に古い扇風機があった。古いので少し音がしていたがそれでも涼しい風が向かって吹いてくることが好きだった。
ある時にその扇風機が壊れていた。
そしたら暑い夏の日に、叔母さんがうちわで僕を扇いでくれた。
扇風機や冷房に比べれば弱い風だし、思っているほど涼しく感じなかったけれど。
そのうちわの風が、すごく幸せな風に思えた。
ずっと心に残っている風。
僕はあの、夏の思い出を今でも忘れない。
そしてこれからどれほど年齢を重ねても、あの夏の思い出はずっと忘れずに僕に優しく語りかけてくれるのだろう。