今まであまり書いてこなかったセラピストとしての本音を書きたい。
僕は出張ホストとして長年、大勢のお客様に会ってきた。そしてもちろん大勢のセラピストにも会ってきた。
当店のキャスト達ともよく話すし、他店で仲良くしてくれている人たちもいる。
女性がセラピストに会う時には、セラピストは「かっこいい自分」を見せるように努力するのでセラピストの普段の姿が分かりにくいと思う。
僕がセラピストに会う時には、接客していない時だから、そのセラピストの仕事以外の顔が見える。
そこにいるのはキラキラとしたかっこいい男ではない。
仕事に悩み、苦しみ、迷っている普通の男の姿だ。
女性も気づいていると思うが、女風の特徴として1年前後で辞めていくセラピストが多い。
また、途中でお店からのお知らせで「心の疲れ」「体調不良」で活動休止する人を何人も見ているだろう。
人気セラピストが突然、何の前触れもなくやめることもあるのは周知の通りだ。新人が軌道に乗り始めたのに辞めることもある。
事前にお知らせもなく辞めるセラピストもいる。身バレが理由のこともあるが不調や疲れで退店する人もいる。
つまりセラピストだって他の職業と同じで、幸せなこと、楽しいこと、嬉しいことばかりではないということだ。
風俗特有の病みやすさもあるのだ。
なぜ病んでしまうのか。様々な理由があるが、実は、お客様とほとんど同じことが理由だ。
お客様は
・セラピストに傷つけられた
・セラピストとの関係性が深まらないことが虚しい
・他のお客様と比較されて悲しい
・いつセラピストに嫌われるか不安
セラピストは、実は全く同じで
・お客様に傷つけられた
・お客様との関係性が深まらないことが虚しい
・他のセラピストと比較されて悲しい
・いつお客様に嫌われるか不安
セラピストが退店するのは悲しむお客様が多いが、それと同じで、セラピストにとってお客様が突然、利用を止めてしまうことがある。
また何も言わずに去っていくお客様もいる。卒業しますと言ってくれるひともいるが、突然であることが多い。
ずっと会えると思っていたお客様にいきなり会えなくなることは、セラピストだってかなり凹むし胸が痛くなる。
そしてセラピストとして最も辛いのは「人間扱いしてもらえない」ではないだろうか。
ユーザー様には分かりにくいかもしれないが、セラピストはお金で買っている商品のように扱われることがあるのだ。
セラピストだから何を言ってもいいと思っている人がいる。僕たちはそう思われているから、匿名掲示板で酷い書き込みも多い。
「セラピストなら心が強いから何を書いても傷つかない」と思われているのだろう。
「お金を払えば何をしてもいい」と思っている人もいる。
簡単に「セラピストなんて切る」と言われる。
「今度回遊しようかな」「前の好きピは○○してくれたのに」と嫌味を言われる。
「○○君はいいよね。お金をいっぱい貰えるし」と言われることもある。嫌味を言われるのは日常茶飯事だ。
大好きと言ってくれた人が、いきなり「他の好きピを見つけた」と言ってくることもある。
自分としては一生懸命にできることをしていても、「愛情が足りない」「私には冷たい」「他のお客様には○○したでしょ」と責められる。
本当の気持ちを言っているのに「嘘ついているよね?」「私といても楽しくないでしょ?」「無理やり笑っているでしょ」と決めつけられる。
お客様の要求を何度も言われる。僕たちの考えは聞いてもらえない。僕たちの感情は無視される。
いつだって「完璧な男」としていなければ減点されて、少しでも疲れを見せてしまうと「手抜き」「塩対応」と泣かれる。
毎日、欲求や期待を向けられていくうちに、どんどん心が擦り減って病んでいくセラピストが後を絶たない。
それにユーザー様から見れば、僕たちは簡単に指名を受けているように見えるかもしれない。
しかしこれだけ大勢のセラピストがいる中で、一つの指名いただくのは非常に大変だ。
人気セラピストと思われている人たちだって簡単に指名をいただいているわけでない。
日々の接客、予約対応、スケジュール調整などやることは山ほどある。
HPの更新、新しい撮影、写メ日記やポストの時間、お客様とのやりとり。毎日やることだらけだ。
だがそのような努力はお客様には見えないので「○○君は、いつも楽しそうでいいよね。私はこんなに悩んでいるのに・・・」と女性から悲しい顔で言われる。
どんどん心に疲労が溜まっているときに、匿名掲示板に「○○の接客は最悪」などと書き込まれる。
さらに病んでいく。
1年ぐらいで辞めるのは、精神的に限界が来ている人が多いのかもしれない。
セラピストだって女性と楽しく過ごしたいし、できるだけ仲良くしたい。
セラピストも人間だ。人前に立つことが多いだけで、一人の男であることには変わりがない。
もちろんプロとして自分の悩みなんて見せずに女性と接するべきなのだが、セラピストの苦悩も書くことでお客様が少しでもセラピスト側の気持ちを理解してもらえたらと思う。
相手を傷つけたくて傷つけてる人なんて誰もいないと思っている。ストレスが溜まり何かが爆発して、相手を傷つけてしまっているのではないだろうか。
セラピストが商品として見られるのではなく人間扱いしてもらえて、女性と幸せなひと時を過ごせることを願う。
水沢 恭輔の写メ日記
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【セラピストの虚しさ】水沢 恭輔