距離感。恋愛においても仕事においても、相手との距離感は常に気になります。けれど、この目に見えない距離感って一体何でしょうか。
物理的な距離ではなくて心理的な距離なので、はっきりした正確な数字で表現できない非常にやっかいなもの。例えば自分はあの人と仲良くなったつもりでいても相手はそうは思っていなかったり、またその逆も。そして、この距離感というものは常に変動する特性を持っているので一度距離が縮まったと思ったのに、ふとした行き違いや誤解で距離感は再び広がりもします。場合によっては修復不可能になるケースも。目に見えないし、手で触ることが出来ないがゆえにコントロールが難しい「距離感」。
たまたま街ですれ違う程度の全くの他人同士であれば距離感なんてほとんど気にしません。でも、職場や学校など同じ空間で日々顔を合わせる関係になると、この距離感が非常に気になり始めてくる。「表面上は非常に優しく接してくれるけど本心では私のことどう思っているんだろう?」「普段会話しないあの人は私のことを嫌っているのかな?」あぁ、気になりだすと止まらない。家族のように生まれたときから同じ屋根の下で生活している間柄なら長い年月を経て醸成された暗黙の絆があるので、この距離感を疑うことってあまりないですよね。でも、まだ限られた情報しか与えられていない人との距離感って分からない。そして距離感が広がった状態は、どことなく不安で落ち着かない。できれば縮めたいと考えるもの。
でも距離感を急いで縮めようとすると逆の結果を招いてしまう。距離感は自分本位でコントロール出来るものではなく、信頼感や愛情と同じように相手がいて初めて成り立つもの。それが育つまでにはある程度の時間が必要です。相手のことを思いやる気持ちを忘れずに少しずつ距離を縮めていく努力。時間もかかるし、ちょっと面倒かもしれない。けれど、お互いのことをよく知るためにはどうしても時間は必要。その結果、断片的だったピースもパズルのように徐々に埋まって、「あなた」という全体像がやっと見えてくるんです。
そして、ちょっと苦手だなぁって人との距離感も縮めてみたい。実は話してみたら意外と良い人だったなんてことも。世の中にはいろいろなテクニックが溢れて、どれを使えばいいのか?って迷ってしまいます。でも私なりに考えるに、「相手のことを純粋に好きになろうとする意識」が一番大事かなって思います。相手の良いところを必ず1つ見つける。こっちが相手を好きになろうと気持ちを切り替えると、自然とその雰囲気は相手に伝わって、相手も距離を縮めようと動いてくれるから不思議。もちろん毎回上手くいくわけではないけれど、相手が動いてくれるのを待つではなく、まず自分から「相手を好きになろう」と意識を変えることが大事。
でも距離感って車の車間距離と同じように近すぎても遠すぎてもダメ。お互いにとって居心地の良い間隔っていうのが必ず存在するし、それを常にキープしないといけない。それを維持できるように相手を思いやる気持ちを常に忘れてはいけない。多くの出会いを通じて、こう感じざるを得ない日々です。
悠真