5月に入り、GW関連のイベントで盛り上がる街並みにぽつんとそびえる小さな花屋に目を向けると、店頭には綺麗な花が並ぶ光景。
あぁ、気づけばもうすぐ「母の日」なんですね。今回の日記は「母の日」に関連して私が読んだ1冊の本について。
私は「言葉」というものを大切にしたい人間ですが、それは何故かと言うと「言葉」には良い意味でも悪い意味でも相手に与える影響力があるからです。ふと自分が発した何気ない言葉が相手を幸せにしたり、ときには傷つけることも。当たり前と言えば当たり前だけど、そんな言葉の持つ力について改めて再認識させてくれた本をご紹介します。
『喜ばれる人になりなさい 母が残してくれた、たった1つの大切なこと』(出版:すばる舎 著者:永松茂久)
この本は著者の幼少期から大人になるまでのエピソードを記したエッセイになっているのですが、その中でも著者の母親の存在、特に著者の母親が発した一つ一つの言葉にフォーカスが当てられています。
「人生をどう生きるか」は生きている間、避けて通ることのできない永遠の課題ですね。この本はこの人生のテーマについてヒントを与えてくれています。「有名になりたい」「稼ぎたい」「会社を大きくしたい」など人生の目的・目標は人それぞれですが、これらはすべて自分自身にベクトルが向けられています。このベクトルを相手に向けて、相手の幸せを実現することを自分の人生のテーマに据えるという視点。これは相手に媚びなさいとか自分を捨てて生きなさい、という意味では決してなく、相手の幸せを実現しながら自分のやりたいことや叶えたいことも同時に追求する、という考え方です。
例えばビル・ゲイツのようにそれまで築き上げてきた巨万の富を社会に還元している人がいます。子を持つ母親が無償の愛を子供に捧げるのもこういった本能から来るのかもしれません。家族や友人、恋人の幸せを考えている時って、とても幸せですよね。その瞬間、誰しもが「自分」という視点を一時的に忘れているのではないでしょうか。
私はとても涙もろい人間なので著者の母親が亡くなる瞬間のページを読んでいる間、ずっと涙が止まりませんでした。「喜ばれる人になりなさい」は著者の母親が、生前大切にしてきた人生のテーマでしたが、亡くなった後も著者の心の中に強いメッセージとして生き続けているようです。言葉の力って本当に強いのです。
「自分は社会の役に立っているのだろうか」「どうせ自分なんていなくても」など自身の存在価値や自己肯定感を失いがちな時代ですが、すべての人を満足させることが出来る人間なんて正直いないと思います。「みんなに認められたい」ではなく、たった一人の人間の幸せのため、自分を信じてくれる一人のファンのために全力で生きる人生も悪くないと思います。きっとその時のあなたは「自分が」という視点を忘れて幸せを感じ取っているはずです。
誰かを幸せにしてあげたいという気持ちは自分の人生を輝かしてくれる。
最後に、著者の母親が残した言葉のなかで私が最も好きな一文を紹介して終わりにしたいと思います(著者が経営する料理店で厨房作業が止まることを覚悟で、スタッフ全員が参加してお客様の誕生日をお店でお祝いすべきかどうかについて、著者と口論になった際の母親の言葉です)。
「確かに効率的に料理を出すことももちろん大切なことよ。でもね、非効率なことだからこそ感動するんじゃない。人ってね、おもてなしをする側の気持ちってしっかり感じ取るのよ。『私一人のためにここまでしてくれたなんて』そう思ったときに感動が生まれる。そんなものなの」