性感って、触れているときだけが“効いてる時間”じゃない。
たとえば、何もしていないように見えるその一瞬、ただ顔を寄せて、首筋に息をふっと吹きかけるだけで、全身の空気が一変することがある。
触れていないのに、背筋がぞくっと反応する。
肌に何も乗ってないのに、腰が少し沈む。
呼吸って、思っている以上に、性感を動かす。
強く吸うでも、吐くでもなく、ただ“そこにある”呼気。
皮膚のすぐ外側に、熱をまとった空気が当たるだけで、身体は勝手に期待してしまう。
「来るかもしれない」
「でもまだ来ない」
その“まだ”の間に、身体は勝手に準備を始める。
だから、次に触れたときの深さがまるで違う。
だから俺は、ときどきあえて“触れないまま”間をつくる。
性感は、押し込むより、引いたほうが反応することがある。
過剰な刺激じゃなく、わずかな“予感”が、感度を上げてくれる。
「息を吹きかけるだけで、身体は気づく」
性感って、ほんの少しの緊張と、ちょうどいい期待の上に成り立ってる。
触れるより前の“間”をどうつくるか。
そこが、俺にとっていちばん大事な時間かもしれない。