「絶頂を迎えたい」
性感の仕事をしていると、そういうリクエストを受けることがある。
気持ちはすごくわかる。
深くまで高まって、全身で快感を感じきるような、あの感覚。
それを味わいたい、味わわせてほしいっていう願い。
だけど俺は、それを“ゴール”にはしない。
というのも、「絶頂に導こう」と考えた瞬間、どうしてもその“意図”が行動に出てしまう。
触れ方が急ぐ。
手の動きに焦りが出る。
空気の流れを感じる前に、自分の中の“正解”を押しつけてしまう。
そして、それは必ず伝わる。
「高められようとしてる」って感じた時点で、身体は緊張する。
どこかで構えてしまって、感覚が閉じてしまう。
性感って、そういう繊細なものだと思う。
だから俺は、施術中に「オーガズムに導く」なんて考えない。
身体が発する“今”のサインを拾っていく。
少しずつ変わっていく呼吸、それに伴って小刻みに動く下腹部、肌が熱を帯びていくその流れに合わせて、無理のないリズムで寄り添っていく。
「絶頂を目指す」よりも、「快感を信じる」方がずっと深い。
求めすぎた瞬間、快感は逃げていく。
でも、自分に素直になれたとき、身体はちゃんと反応する。
「性感は、結果を生むものじゃなく、感覚を積み重ねるもの」