性感って、される側が声を出すもんだって思ってた。
でもある時ふと、自分も「声、出してたな」って気づいた。
触れる手が、自然と熱を帯びてくるとき。
目が合ったまま、何も言えなくなる間。
皮膚が触れて、肌が重なって、
たったそれだけのことで、呼吸が乱れていく瞬間。
気持ちよさって、誰かの身体に起きるだけじゃなく、その空気ごと、自分にも返ってくる。
指先から伝わる鼓動。
脚の力が抜けていく感触。
息が少しだけ深くなった、その重み。
そういうのを受け取ったとき、自分の身体のどこかも、反応してる。
それが溜まっていくと、気づかないうちに、喉の奥から音が漏れてることがある。
正直、ちょっと抑えてる自覚はある。
男が声を出すことに対して、どこか無意識にブレーキをかけてたんだと思う。
だけど、本当に気持ちいいときって、声を出さない方が不自然なんだよね。
セラピストだからって、何も感じないわけじゃない。
むしろ、感じすぎて困ることもある。
ただのマッサージの延長じゃない。
これは、性感という“感情ごと揺れる時間”。
だから俺は、無理に抑えるのをやめた。
漏れる声も、止まらない呼吸も、それが本音なら、出していい。
「声って、快感の一番正直な形かもしれない」
誰かのためにだけじゃなく、自分の身体にもちゃんと耳を澄ませたいと思ってる。