「イケたことがない」
「自分はそういうタイプじゃないのかもしれない」
そんな言葉を、過去に何度も聞いてきた。
でも、そもそも“イケる”って何だろう。
強く震えること?
声が漏れること?
絶頂を迎えること?
医学的には、オーガズムの瞬間にはオキシトシンやエンドルフィンといったホルモンが分泌される。
これは幸福感や安心感、鎮静効果をもたらすもので、涙が出たり、身体が脱力したりするのは、その自然な反応のひとつだ。
でもその前に必要なのは、「この人の前なら、緩んでいい」と思える心の許可。
だから俺は、まず最初に“構えさせないこと”を大事にしている。
急に触らない。
目の前にいても、無理に目を合わせようとしない。
肌が少しずつ温まるまで、ただ静かに呼吸を揃えていく。
話す言葉よりも、話さない間の方が、伝わることもある。
相手の反応を見て、焦らない。急がない。
「その人のペースに寄り添う」というのは、待つことができるかどうかだと思う。
性感は、“触る技術”じゃない。
“触れる前の空気”で、ほとんど決まっている。
だから俺は、こう思っている。
「イカせることはできない。でも、イケる空気はつくれる」
「性感は、相手を脱がせることじゃなく、自分から脱げる空気をつくること」
本気でイケたときって、理性が吹き飛ぶ。
身体の奥から、湧きあがるような感覚がくる。
それは感度じゃなく、信頼から始まるもの。
だからこそ、“本気でイケる”って、
快感の話であると同時に、信頼の話でもあると思ってる。