性感って、言葉にするとすごく直接的に聞こえるけど、実際にやっていることは、意外と静かで繊細なものだったりする。
どこをどう触るかじゃなくて、どのくらいの“間”で、どのくらいの“温度”で、その人の感覚がどこから開いていくのかを探っていくことに近い。
焦らすとか、じらすとか、そういうテクニックの話じゃなくて、触れない時間のほうが、時にいちばんエロいこともある。
手のひらが肌に触れる寸前。
唇が呼吸だけを感じて、まだ肌に落ちないとき。
何もされていないのに、身体が勝手に期待をしてしまう。
性感には、「行為」よりも「空気」がある。
その空気のなかで、感覚がじわじわと立ち上がってくる。
心が追いつく前に身体が応えてしまう、あの感じ。
身体が熱を持ち始めると、皮膚の反応が変わってくる。
同じ場所を撫でても、深く沈むような動きになる。
触れているだけなのに、そこから音が漏れるようになると、ようやく性感が“始まった”感じがする。
性感って、“イカせる技術”じゃない。
“感じていい自分”を思い出す時間だと思ってる。
誰に見せるわけでもなく、うまく反応しようとする必要もなくて、ただ、目を閉じて、自分の感覚に集中していく。
快感って、がんばって得るものじゃない。
脱力したとき、油断したとき、少し素になったときにしか、ちゃんと届かない。
性感って、身体と心がほんの少しずつ緩んでいくプロセスそのもの。
その“変化の瞬間”にあるエロさを、俺は大切にしたいと思ってる。