この仕事をしていると、「伝えること」について、よく考えます。
言葉を選んで、表情を作って、手を伸ばして、できる限り丁寧に気持ちを届けようとする。
でも、どんなに気をつけても、それが“ちゃんと伝わる”とは限らないんですよね。
言葉って、本当に不完全なものだと思う。
本当は不安だったのに、強がって「大丈夫」って言ってしまったり。
心から嬉しかったのに、素直に「ありがとう」って言えなかったり。
伝えたい気持ちと、口から出る言葉がズレることなんて、日常茶飯事です。
そして、それは相手もきっと同じで。
だからこそ、「ちゃんと伝わった」と感じられる瞬間って、奇跡みたいだなと思います。
言葉だけじゃない。目線だったり、仕草だったり、ふとした空気の変化だったり。
そんなものが積み重なったときに、言葉以上に確かに「伝わった」と感じる瞬間がある。
たとえば、何も言わなくても、ふっと肩の力が抜けたとき。
少し泣きそうな顔をして、それでも笑ったとき。
その瞬間に、「ああ、届いたかもしれない」って思う。
セラピストとして過ごしている中でも、そんな奇跡みたいな瞬間に立ち会えたとき、この仕事を選んでよかったと心から思うんです。
伝えるのは、難しい。
伝わるのは、もっと難しい。
でも、難しいからこそ、本当に伝わったときの重みは、何にも代えがたい。
これからもきっと、伝えたくて空回りする日もあると思う。
うまく言葉にできずに悩む夜もあると思う。
でも、それでも。
誰かと、たった一度でも、ちゃんと心が通い合う瞬間を信じて、言葉を、手を、心を、伸ばしていきたいです。