この仕事をしていると、距離のことをよく考えます。
物理的な距離も、心の距離も。
近づくことが嬉しいこともあれば、近づきすぎることで見えなくなるものもある。
最近あらためて思うのは、距離感を守ることって、冷たさじゃなくて、優しさなんじゃないかということです。
女風って、たしかに他のサービスと比べて「距離が近くなりやすい」業界だと思います。
DMで言葉を交わし、当日には身体に触れ合い、時には心の奥にある感情にまで触れるような関係になる。
そこに信頼や感情が生まれるのは、ごく自然なことです。
でも、“信頼があるからこそ”、ちゃんと線を引くことって大事だと思うんです。
たとえば、たくさん話してくれるようになったからといって、こちらからどんどん踏み込んでいいわけじゃない。
逆に、あまり言葉を交わさない方に対しても、「もっと距離を縮めなきゃ」と焦る必要もない。
その人が今、どこまでを心地よく感じているか。
どこまでを望んでいて、どこからが“しんどい”になってしまうのか。
それをちゃんと感じ取ることが、この仕事の一番大切な部分なんじゃないかとさえ思っています。
誰かにとっての“ちょうどいい距離”は、昨日のお客様と、今日のお客様ではまったく違います。
同じ人でも、会うたびに微妙に変わっていたりもする。
だから自分は、「近づく」よりも「近づきすぎないこと」を大事にしたいと思っています。
その“少しの間”にこそ、相手が自由でいられるスペースがあるから。
セラピストって、何かをしてあげる仕事だと思われがちだけど、「しないことを選ぶ」ことも、実はすごく重要な判断です。
相手の世界に入りすぎず、でもそばにはいる。
頼られたいけど、依存される存在ではなくて、寄りかかっても大丈夫な場所でいたい。
そのためには、ちゃんと境界線を持ったうえで、“優しくいられる強さ”が必要だなと、日々感じています。
癒しって、触れ合うことや、言葉をかけることだけじゃなくて、「守られている」と感じられる距離から生まれるものでもあると思います。
これからも俺は、そっと寄り添える距離感を大切にしながら、誰かにとっての安心の居場所でいられたらいいなと思っています。