3月11日
あの日から14年が経った。
東北に住んでいた高校生の俺にとって、あの地震は人生で初めての大きな揺れだった。
家にいた俺は、突然の激しい揺れに動けず、ただ立ち尽くしていた。
戸棚の本がすべて落ちて、電気が消えた。
停電になり、家の中は静かになった。
外からは何かが崩れる音や、近所の人の声が聞こえてきた。
その後の生活は大きく変わった。
余震が続き、怖くてなかなか眠れない日もあった。
普段の生活がどれだけ大切で、ありがたいものだったのかを強く感じた。
高校を卒業して、俺は仙台へ引っ越した。
大学に通うためだったが、そこで新しい友達ができた。
仙台で出会った人たちは、それぞれ違う震災の経験を持っていた。
家をなくした人、家族を失った人、俺と同じようにただ怖い思いをした人。
話を聞くたびに、自分が経験したことはほんの一部だったのだと気づいた。
それでも、前に進むしかなかった。
14年が経ち、震災の記憶は少しずつ薄れていくけれど、あの日のことは忘れられない。
あの時の自分、あの時の怖さ、そしてその後に出会った人たち。すべてが今の俺を作っている。
あの時できた友達とは、今も仲良くしている。
その人は家族を失い、とてもつらい時間を過ごしていた。
でも最近、素敵な人と出会い、結婚したそうだ。
今はとても幸せそうに暮らしていると聞いて、心からうれしかった。
14年も経ったのか、それとも14年しか経っていないのか。
それは人によって違うだろう。
でも、この出来事は絶対に忘れてはいけない。
そう強く思った。
3月11日。この日が来るたびに、俺は立ち止まり、あの日のことを思い出すんだろう。