「ベニスに死す」
世界で一番美しい少年を完璧な美意識で描き出す傑作です。絶世の美少年に中年男が魅了され踊らされる様は滑稽です。マーラー交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」が流れて魅せられるファーストシーンや、伝染病コレラが蔓延する街で美少年タジオの姿を追いかけるシーンは儚くも美しい夢であるかのようです
ダーク・ボガードがタジオを見つめる欲望に燃えた貪欲な目、濡れた唇、うねる舌。彼の頭の中では口淫しているようで美しい映像から漏れる色気は圧巻です。これといった濡れ場があるわけでもなくエロく美しいです。
ちなみに監督のルキノ・ビスコンティは同性愛を公言していて、彼の作品に出演したアラン・ドロンを見出したり、撮影スタッフのほぼ全員が同性愛者だったなど、1971年に撮られた映画とは思えない狂いようにまた驚きます。
タジオを演じたビョルン・アンドレセンが映画「ミッドサマー」で身投げする老人役だと知ってかなり驚きました。
あらすじfrom wikipedia
静養のためベニスを訪れた老作曲家は、ふと出会ったポーランド貴族の美少年タッジオに理想の美を見い出す。以来、彼は浜に続く回廊をタッジオを求めて彷徨うようになる。
ある日、ベニスの街中で消毒が始まる。誰も真実を語らない中、疫病が流行していることをようやく聞きつける。それでも彼はベニスを去らない。
白粉と口紅、白髪染めを施して若作りをし、死臭漂うベニスを彼はタッジオの姿を追い求め歩き続ける。ついに彼は倒れ込み、ひとり力なく笑い声を上げる。翌日、疲れきった体を海辺のデッキチェアに横たえ、波光がきらめく中、彼方を指差すタッジオの姿を見つめながら彼は死んでゆく。
玲一の写メ日記
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映画とエロスVol.8玲一