ザック・スナイダー監督『ドーン・オブ・ザ・デッド』
2004年公開の米国映画
言わずと知れたロメロ監督によるゾンビ映画の金字塔『ゾンビ(1978年公開)』のリメイク版。
先ずはじめに、とても良い映画でした。ロメロ監督の『ゾンビ』の世界観はそのままに、映像や時代背景を現代へアップデートする形で物語が進んでいき、最初から最後までノンストップで楽しめる映画だと思います。もしこの映画を観るのであれば、ロメロ版『ゾンビ』を観てからの方がより楽しめるかもしれません。
ただですね、1つだけ納得いかない事がありまして、この映画に出てくるゾンビ達は「走る」んですよ。それも結構良いフォームで。
勿論、現代は何かにつけて多様性が叫ばれる世界なので走るゾンビが居てもポリコレ的に良いとは思いますが、やはり何処か慊りないんですね。人型ゾンビの良いところって、あのなんとも言えないダウナーでチルアウトな感じだと思うんですよ。
緩慢な動きで人間に近寄って、美味しそうにその肉をムシャムシャ食べる。まるで死者がマリファナとヘロインを同時に摂取したようなあの感じがゾンビの真髄であり、ハイパーな速度で進んでいく現代社会へのアンチテーゼとして君臨している訳です。
ところが今回の映画に出てくるゾンビは、ゾンビなのに何処か生き急いでいる感じがある。言ってみれば超アッパー系ゾンビなんですね。それじゃあゾンビになった時に夢も希望もないじゃないですか。一回死んでるのに生き急ぎたくは無いものです。
まぁ、死者さえも生き急いでしまう程のハイパースピーディングな世界になってしまって、誰もそこから逃れられないぜと言う監督からのメッセージかもしれませんが。
云々と小言を垂れていますが、兎にも角にも良い映画でした。