部屋に入ってくる雑音の数は昼間とそう変わらないはずなのに、
少しだけ昼間より深い静寂を纏っていて、
換気扇や空気清浄機の排気音が却ってその静けさを引き立てています。
電気を消しても真っ暗にはならず、どこかしこでパイロットランプが光る部屋の中、
目を閉じて沈思黙考に沈みます。
夜は、少しだけ、昼より自由な気がします。
昔はよく夜に負けそうになって、早く朝がくることを願ったりもしましたが、
少し大人になった今では夜の残酷さを楽しむくらいの余裕はあります。
深夜に散歩するのも好きです。
街は、決して漆黒の闇という訳ではありませんが、
それでもやはり昏く、人の姿かたちを曖昧にします。
夜に溶けながら歩く人達とすれ違うたびに、
境界線の曖昧な自分の姿を想像して、少し安心します。
夜はとても優しい存在です。
いまや、僕にとっては飽くまでも安息の地なのです。
眠ってしまうには勿体ないくらい素敵で
だからいつも少しだけ寝不足です。