私は奥山由之さんという写真家のスタイルが大好きです。
「スタイル」はサーフィンでもよく使われる言葉で、写真の場合、写真家の被写体に対する視点や撮影に使用している機材などが、そのスタイルを構成する重要な要素になると思います。
「その写真家がそのときに見ていたものが作品にそのまま記録されている」という観点で写真を見ていると、自分では到底認識できない部分を見ることができて興味深いです。
奥山由之さんの作品を眺めていると、意識の深層にあるプレートが静かに揺れ動くような感覚的な変化を憶えます。
最近行った彼の写真展では、斬新な鑑賞方法で来場者を楽しませていました。
会場のゲートを通るとすべての照明が消された完全な暗闇になっていて、事前に渡されたペンライトを頼りに闇の中の作品を鑑賞しながら通路を進んでいくというものでした。
作品自体は臨場感と優しさが混在していて、心を揺さぶられる刺激的な時間を過ごすことができました。
『BACON ICE CREAM』で写し出されているのは統一された対象物ではなく、いろいろな人物や部屋の片隅などありふれた日常の風景です。
それら一枚一枚に儚さと美しさを感じることができます。
驚くべきことは、写真の中に「光」の存在そのものが写し出されていることです。
普段目で捉えることのできない「光」がしっかりと写真に収められていて、それらが感動的に美しいです。
何も考えずにぼんやりと写真集のページをめくっていると、頭の中が空っぽになり、全身がリラックスできます。
ちなみに私は写真に関する知見や才能を一切持っていません。
撮りたい対象物は日常にいろいろあるので、いつもiPhone8で一生懸命撮っています。
禅の写メ日記
-
#禅BOOKS #7 BACON ICE CREAM/奥山由之禅