以下は「快楽よりも、呼吸を合わせる時間が欲しかった」というテーマをもとにした日記形式の文章です。
快楽の追求を超えて、心と身体が調和する瞬間を求める心情を描いています。
日記:快楽よりも、呼吸を合わせる時間が欲しかった
欲しいのは、快楽だけじゃない。
いつもそんな風に思っている自分が、
どこか矛盾していることに気づかされる。
毎日、世間は「もっと快楽を」「もっと刺激を」と言っている。
でも、私はそのどれもが、どこか空虚に感じていた。
何が足りないのだろう。
セラピストと会う前、私は心のどこかで答えを探していた。
性行為の後の虚無感、
欲望を満たしたのに、なぜか心が満たされない不安。
お金を払っても、快楽だけではそれは埋められない気がしていた。
彼がホテルの部屋に入ってきたとき、
私はまず、手を出すことなくただ一緒に座った。
「何かしてほしい?」
その問いに、私は少し戸惑った。
普段、こういう場で求められるのは、
即座に反応すること、
快楽を感じて、相手を満たすことだと思っていたから。
でもそのとき、私はただ、**“一緒に呼吸をする時間”**が欲しかった。
彼と、互いのペースで、
言葉なくとも存在が通じ合う瞬間を感じたかった。
最初は彼も戸惑っていた。
私が快楽を求めていないことを、理解するのに少し時間がかかったようだった。
でも、やがて彼は私のペースに合わせ、
触れることなくただじっとしてくれた。
私たちは、まるでひとつの呼吸をするように、
互いのリズムを探しながら、その時を過ごした。
何も急がない。
ただ、ここにいることを確かめ合うだけの時間。
その時間が、私には何よりも心地よかった。
快楽を超えた、もっと深いところで繋がる感覚。
その瞬間、私は初めて気づいた。
快楽は一瞬で終わるかもしれない。
でも、呼吸を合わせることは、永遠に続く可能性がある。
息を合わせることで、お互いの存在を確かめ、
言葉以上のものを感じることができる。
その夜、私が求めていたのは、
ただ単に触れられたり、満たされたりすることではなく、
共鳴する時間だった。
ケインの写メ日記
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「快楽よりも、呼吸を合わせる時間が欲しかった」ケイン