中学生の頃通っていた塾の先生で、面白い方が居ました。
社会科担当の女性の先生でした。
気さくで明るく、歴史や政治の内容を、たとえ話を交えてわかりやすく説明してくれる為、他の生徒からも人気でした。
受験も近づくある日、授業内容が日本の選挙制度の内容、ひいては女性選挙権の内容になりました。
授業時間の終盤、普段は質疑応答に使われる時間で、先生はこんな事を語りだしました。
「君が大人になって選挙権を持った時、必ず投票に行ってほしい。君の手にした一票は、過去に生きた何百万人もの先人たちが、己の命に替えても欲しがった一票だ。虐げられてきた民衆が、正当な手段で支配層に一矢報いる為のものだ」
随分と重いことを言うな、なんて思ったりもしましたが、先生の立場からすれば、そのぐらい言いたい事だったのでしょう。
先生は、大学に通っている時にお父様が亡くなり、家族の生活費や自分の学費、妹さんの学費を稼ぐ為に、昼夜問わず勉強とアルバイトに明け暮れ、それでも行き詰まって水商売もしたという苦労の方でした。
水商売を始められた頃は、仕事にも慣れないし、お客さんが良い人ばかりではないし、自分が汚れていくみたいだし、二度と純粋な自分には戻れないように思えて毎日泣いていたそうです。
それなのに、どれだけ苦しんでも、なんとか必死に働いても、それで死にたくなるような惨めな思いをしても、国は手を差し伸べてはくれないし、それどころか税金は取れるだけむしり取っていく。
ふざけるな、と。
そんな自分の嫌いな人間が、自分が惨めな思いをして稼いだ金で飯を食うなんて、死んでもお断り、だったら一票でも報いてやる。
そういうお話でした。
たしかに、自分が認めた人間でも無いのに自分の財布から稼ぎを取っていくのは、かなりムカつくな、なんて思います。
なので今回も、僕は都知事選挙に行ってきました。
ちょっと真面目な話にはなりましたが、
こういう業界に入ったからこそ思い出したこと。
こういう業界に居るからこそ見えてくる想い。
人の悲しみに寄り添える人間になりたいと思う以上、こういうものも大切にしなきゃなと思って書きました。
ではでは!
初の写メ日記
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【先生と選挙と水商売】初