松任谷由実の「ナビゲイター」という曲がある
親がユーミンをよく聴いていたこともあり
遠い昔に聴いたという記憶だけある
こどもだった私は
この曲のメッセージなど知る由もないが
最近、久々に聴く機会があった
「ナビゲイター」は、
パートナーが運転する車の
助手席に座る女性の目線で描かれた
恋愛ソングだ
とにかく大好きな人と一緒にいることが
嬉しくて仕方がない女性の歌で、
「おかしすぎて涙が出る
今がうそみたい
みんな捨ててどこでも行く
何だってやる」
というサビがある
ユーミンはこの曲のリリース前年に
松任谷正隆氏と結婚しているので、
ドライブはこれからの人生のメタファー
なのかもしれないと感じた
改めて聴くと、おぼこかった当時の自分と
「ナビゲイター」の様な未来が訪れなかった
今の自分の対比に笑いが漏れる
大人になった私は、鼻歌を歌いながらひとりで車を運転するような人生を送っているのだから
すべてをなげうってでも
この人についていきたい
と熱望するような恋は誰しもしたことがあるだろう
私自身もそれなりの紆余曲折を経て思うに
恋愛のパートナーシップは、
シーソーのように
力が不均衡な状態にあるほうが燃え上がる
しかし、それでは長く続かない
恋愛や結婚は、愛情を多く注いだほうが弱者になるのが忌々しい
ユーミンは不均衡なパワーバランスの予兆を歌いたかったわけではないだろう
もしかしたら、こういう時がいちばん楽しいと知っていて書いた曲なのかもしれない
力の不均衡が招く不幸など知らなかった私には
愛情を湯水のように注ぎたい欲求もあった
いまでもそのケがないとは言い切れない
しかし、見返りを求めない聖母にはなれないこともわかっている
蛇口の調整はいくつになっても難しい
私に幼子でもいれば、
すべてを捧げる愛の歌は
いまでも美しく聴けるのだが、
それも難しいので猫を飼っている
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真島
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