マルチに払った友人のお金を
取り戻すお話し、最後です。
Tはお金に困っていたことと、
僕と同じように、
学校で絶大な人気のあった
人物から誘われた彼は
まさかこれが
マルチだとおもわず、
即答で上位会員入りを
決めました。
以下はTから聞いた、
もし上位会員を選んだら
僕がどんな道を歩んでいたかの
ifルートです。
※※※※
そもそも
音楽学校を卒業して
アマとプロの境目にいる
フリーターに
30万円の貯金なんて
あるはずがありません。
(当然僕も無かったです)
ではどうするかというと
それもちゃんと
アースウォーカー側では
マニュアルが用意されており、
消費者金融での
借入を指示されます。
アコムとかレイクとか
そういうところですね。
しかし
いくら消費者金融といえど
資産も貯金も定職もない
フリーターに30万は
貸してくれないため
日雇い派遣に行って
籍だけを登録し、
その足で即日申請にいけば
お金を借りることが
できたようです。
その後日雇い派遣から
いろいろ電話がかかってくるとは思うが
それはもう全て
ガン無視をすればいい、
そんな指示が彼には下りました。
この辺りはもう
しっかりとハメる型が
出来上がっていますね。
そしてTは指示通り、
今はもう亡きグッドウィルに
在籍登録をして、
サラ金でお金を借り、
手にした30万円全額を
マルチ側へ支払いました。
そういった経緯を聞いた僕は
なんとかTを救えないかと
周りを頼ってみるのですが、
我々を騙したのも
音楽関係の友人なら
我々を救ったのも
音楽で繋がった友人達でした。
※※※※
当時僕は慶應大学の
日吉キャンパスに
通っていました。
「通っていた」というのは
本当に文字通り通っていただけで
入学したわけではありません。
慶應に通うようになったのは
正規に在学していた友達に
誘われたためで、
当時は部外者でも
在籍している方と同じように
授業も出られたし、
学食も食べられたし、
サークルに入ることもできました。
そして慶応のジャズ研は
非常にレベルが高く
プロの排出率も良い環境だったため、
日夜そこでベースを弾き、
学食でカツカレーを食べ、
気分転換に授業を受ける、
…という武者修行のような生活を
しばらく続けていました。
そしてそこで知り合った
法学部の友人達に
ことと次第を
相談したところ、
消費者センター的な
相談窓口の電話番号を
教えてもらい、
Tがそこに電話をかけただけで
あとはトントン拍子で
お金が返ってきたそうです。
あんな時代でしたが
法の力というのは
絶大なものがあるんだなと
本当に関心させられた
思い出があります。
そして2、3年後に
このアースウォーカーは
マルチとして行政処分がくだり、
主犯が逮捕されたり、
一時期新聞にも記事が
載っていました。
※※※※
今にして思うのは
「まさか信頼してる友人が自分を
マルチに誘ってこないだろう」
…という思い込みの恐ろしさです。
当時は「20歳そこそこだったから」
なんて思ったりもするんですが、
ネットを見ると40だろうが
50だろうが、年齢関係なく
知人友人に誘われて
思わぬ落とし穴にハメられた
話なんて今の時代でも
ゴロゴロと転がっています。
楽して稼げるなんていう話が
幻想であるのは
昭和も平成も令和も
変わりがありません。
そして、僕自身は
「ナニワ金融道」を
読んでいて良かったと
この時心から思いました。
マルチにお金を払ったTと
それを回避した僕、
二人をわけたのは
「ナニワ金融道を読んでいたか、否か」
…この一点に過ぎません。
まさにナニワ金融道に救われた
瞬間だったと思います。
マルチがテーマとなった
ヒビワレックスタイヤのお話は
15巻に収録されています。
今の時代にも通じる
素晴らしい名著なので
未修の方はぜひ
読んでみてください。
洋介の写メ日記
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マルチに引っかかった友人のお金を取り戻した話 洋介洋介