超世話になった友人に連れられ、
めちゃくちゃ稼げるバイトの
説明会にいった話です。
大人気とされる説明会会場は
6０名ほども入れる
雑居ビルの一室でした。
が、これがスッカスカの
ガラガラなのです。
志願者は6名ほどで、
あとは皆、その志願者を
連れてきた人や
関係者ばかりの模様。
枠がもうないから
なんとか頼み込んで
参加をさせてもらったのでは…
ここで僕のなかで少しの
「？」マークがともります。
説明者は
元プロボクサーを名乗る
３０歳くらいの男性で、
就業先の団体は
アー○ウォーカーといい、
地球を歩くとか
よくわかりませんが
そこそこの規模の
活動をしているようです。
説明会の内容は、
いかに
・お金が大事であるか
・時間が有限であるか、
・配布するカタログがすばらしいか、
・どれだけお客様に貢献できているか
・このお仕事が稼げるか
…といった
内容だったんですが、
それよりも気になったのは
友人Hを含め、
僕ら志願者のまわりにいる、
既に上位会員となって
我々をここに導いたであろう
人間の説明会中の態度でした。
プロボクサー氏の
超絶つまらない冗談に
肩を震わせて、
手を叩いて、
あきらかすぎるほどに
わざとらしく笑い、
「お金がほしい！！！」
…みたいなコールじみた
演説の際は、
声を張り上げて同調する。
もうかなり早めの
段階でうすうす
気づいてはいたんですが、
これは…
これは…
高校生のころ熟読していた
ナニワ金融道の
マルチの勧誘にそっくりだ！！！！
※※※※
この時の僕はいくつかの
感情が織り混ざった
複雑な心境でした。
頭の中の冷静な部分は
「どうみてもこれはマルチ」
…と告げていますし、
規模は小さいけれど
漫画で読んだマルチの説明会が
目の前で繰り広げられているのも
ちょっとした感動があります。
しかしそんな想いは
全体の中では少数の割合で、
それよりも、
なによりも、
みんなの憧れだったHが、
学年の人気者だったHが、
面倒見のよかったHが、
僕も何度も世話になった…あのHが！
プロボクサー氏の
超絶つまらない冗談で
体をゆすり、
手を叩いて笑い、
わけのわからないコールで
大声を張り上げている。
説明会云々よりも
Hのあまりの変わりように
めちゃくちゃ
引いていましたし
なぜだかわからないけど
すごく悲しいと思ったことを
とてもよく覚えています。
そして、こんな状況においても
まだどこかで
「あの優しいHが僕をマルチに
誘うはずなんてない」
…と、彼を信じる気持ちが
僕の中にはありました。
※※※※
説明会が終わると
その後は
プロボクサー氏とHと
僕の三者面談です。
二人は口を揃えて
猛烈な勢いで、
30万円の権利金を支払って
上位会員
（カタログ配布マージン高＋
生贄を連れてくると紹介料有）
コースを進めてきます。
この時に何度も言われたのが
「稼ぎたい気持ち」というワードで、
上位会員入りを
当然のごとく渋る僕に
「それがお前の稼ぎたい気持ちの量だ！」
…みたいなことを批判めいた
口調で何度もいわれたのが
とても印象に残っています。
面談は1時間にも及び、
結局この場では、
カタログだけを配る普通会員なら
やっても良いと強く主張し帰宅。
そして後日、Hから
「今は普通会員の募集は停止してる」
という連絡をもらって
「なんだそれ…」と
心の中でつっこみを入れて
本件への関わりは終了。
…
…
…だったはずなんですが、
在学当時に仲のよかったTが
既にこのアース○ォーカーに
引っかかっていて
権利金の30万円も
支払ってしまったことを知り、
その解決に乗り出すことになります。
洋介の写メ日記
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めちゃくちゃ稼げるバイトに勧誘された話 洋介洋介
