結論から書くと働かなかった
バイトの話です。
20数年前、データ入力の
バイトに応募をしました。
「データ入力!服装自由!」
みたいな感じの募集だったので
指定の集合場所(なぜか公園)に
集まったひと(20人くらい)は
それはそれは多種多様な
外見をしており、
基本的に
「俺は社会には縛られないぜ」
…みたいな主張を全身から
発している方々ばかりでした。
採用担当の方による
履歴書回収のフェーズが
あったのですが、
ポケットから
ボールのように丸めた
ダンゴの形状になった
履歴書を出している人もいて、
明らかに今まで経験してきた
バイトの現場とは雰囲気が
一味も二味も違います。
しかし採用担当の方も
そのくらいは慣れっこ
だったらしく、
無言でそのボール状の
履歴書を受け取ると、
両手で広げて
ただのくしゃくしゃの
履歴書に直していました。
不採用の連絡後ならともかく
面接の前に
あんなにシワのよった
履歴書をみたのは
この時が初めてでした。
その後は近くのビルに
案内されたのち、
それぞれ個室に通されて
担当者と一対一で
面接を行ったのですが、
この募集元だった
「M」という会社は、
スーツこそ着ているものの
スタッフが皆さん
非常に若かったのが
大変印象的でした。
僕も20歳前後でしたが、
どうみても同い年くらいです。
当時は
「ベンチャー企業」という言葉が
だいぶ流行っていたころ
でもあったので、
これが噂のベンチャーなのか…と
驚きを覚えていました。
僕は高校では
3年間ずっとスーパーで
バイトを続けていましたが、
その後は音楽業の傍らに
1か月〜1年単位くらいで
バイトや派遣を転々とする
日々を送っていました。
つまり、
多種多様な職場で
たくさんの面接を受ける機会が
あったということなのですが、
このMという会社の
面接で聞かれた質問は
他の会社の面接では
一度も受けたことがありません。
いわく、
「あなたの将来の夢はなんですか?」
「私たちがそれに対して何か
できることはありますか?」
…というものです。
なかなか普通のアルバイトの
面接では聞かれることのない
質問ではないでしょうか。
しかもこれを
20歳そこそこの若者が、
実にこちらに寄り添うような
慈愛に満ちた表情で大真面目に
質問をしてくるのです。
質問を受けた際には
「採用面接で聞く質問かな?」
とか、
「伝えたら何してくれるの?」
とか、
いろんな思いが到来しつつも
ただただびっくり
していたことを覚えています。
結局その場は苦笑いで
適当に流してしまったのですが、
もっと突っ込んで
聞かなかったことを
今はすこし後悔しています。
そんなこんなでつつがなく
面接は終了したんですが、
面接の最後で明かされた
この「データ入力」という
おしごとの内容は、
出会い系サイトの中の人
でした。 (続
洋介の写メ日記
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データ入力のバイトに応募した話 洋介洋介