2週間、お花たちと過ごす中で感じたことをいくつかの視点からまとめています。
今回は「③儚さ」について綴ってみたいと思います。

日々お花のお世話をしていると、花々は少しずつ姿を変えていきます。
昨日まで蕾だった花が、今日にはふんわりと咲き始めていたり、
反対に、昨日まで美しく咲いていた花が、静かに散っていったり。
そんな日々の変化を目の当たりにする中で、
「儚さ」という感情が自然と湧き上がってきました。
この“儚さ”という感覚は、日本独特のものであり、
私たち日本人の感性を象徴するものの一つかもしれません。
英語で「儚さ」を表現する最も近い言葉は ephemeral。
「短命」「一時的」「はかない」などの意味を含む言葉です。
けれども、日本語の「儚さ」が持つ情緒や奥行きには、
英語では完全に言い表せない、繊細で深い響きがあると感じます。
このような感性を自然に育める文化の中で暮らせることに、私は幸福を感じています。
ちなみに、今年4月の訪日外国人客数は390万8900人と、
単月として過去最高を記録したそうです。
その時期に日本を訪れる目的として最も多いのが、「桜の鑑賞」だと言われています。
世界中の人々が、
日本の桜がもつ短命な美しさ、そして物事の有限性に心を動かされているのだと思います。
愛に国籍や人種は関係ないように、
美しいものにふれる心もまた、すべての人に共通するものなのだと改めて感じました。