【恋愛時計 第25話「嫉妬」】- 弦之介(女性用風俗amen)東京/性感マッサージ

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  • 恋愛時計 第25話「嫉妬」
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    第25話 嫉妬

    そんなことがあってから、お互い少し気まずくなり連絡を取り合わなくなった。


    そして1週間が過ぎたある日。


    祥子は奏のことが気になって写メ日記を見たが更新されていなかった。Xのポストもなく少し心配になっていたが、口コミを見た瞬間、心配したことを後悔した。


    この1週間で10件以上の口コミがあり、中には何をしたかなど事細かに書いてあるものもあった。


    怒りにも似た感情が祥子を襲う。


    以前、ギタリストの奏が、涅音として女性用風俗のセラピストをしていると知った夜に読んだ口コミで生まれた嫉妬とは比べ物にならないほどの激しい感情だった。心が動くだけでなく頭に身体中の血が勢い良く流れていくのがわかった。


    強烈な嫉妬だった。


    いても立ってもいられなくなった祥子は勢いで奏にLINEしてしまった。


    「あんな気まずいことがあったのに、他の女の人に腕枕とかして優しく話してるのね」


    数時間既読にならなかった。
    待ちきれずまたLINEする。


    「ね、あの時一線を越えようとしたわよね?みんなにも同じことしてるんでしょ?ね、そうでしょ?」


    30分ぐらい経った頃、既読になった。どういう返事が来るか不安もあったが、とにかくその時祥子は嫉妬の悪魔に取り憑かれてとても正常な判断が出来る状態ではなかった。


    10分経っても20分経っても返事が来ない。
    たまらずまたLINEする。

    「ねー、何で返事くれないの?図星だったから言い訳考えてるの?」


    奏がLINEに気付いたのはその日の最後の予約を終えた後だった。


    祥子からのLINE通知に一瞬喜んだが内容を読んで座り込んだ。


    (どうして?何があったんだろう)


    奏は最初わからなかった。それもそのはず、祥子が口コミを読んで激しく嫉妬しているなど知る由もなかったからだ。

    ただいつかはこうなるかもしれないと予測はしていた。

    普段セラピストは極力他のお客さんの影を見せないように配慮するが、コントロール出来ない情報に対してはどうしようもないのだ。

    特にトップセラピストともなると匿名掲示板にあることないことを書かれてしまう。匿名をいいことに嘘の情報の流布とそれについての誹謗中傷、マウント、争い・・・。人間の醜悪さによって営業妨害行為が行われているのだ。


    (もしかしたら掲示板見ちゃったのかな。あんなの嘘ばっかりなのに。。。)


    奏はその時間、どう返信するか悩んでいたのだ。


    「祥子さん、お久し振りです。この前娘さんは大丈夫でしたか?連絡もらえて嬉しい」

    「嬉しい?私は嬉しくなんかない!」
    祥子はすぐに返信がなかったことで更にヒートアップしていた。

    「・・・祥子さん、ごめんなさい。今僕が何を言っても言い訳になるだろうし、どんなに気持ちを伝えたって信じてもらえないと思うけど」

    「は?だから何なの?」

    「だからひとつだけわかって欲しい」

    「何を?」

    「今僕は涅音ではなくて、奏なんです。祥子さんと音を通して魂で会話した奏だから・・・だから涅音として見て欲しくなくて」

    「涅音くんじゃなくて奏くん・・・」
    祥子はハッ!とした。祥子が好きになったのは奏であって涅音ではなかった。

    「セラピストである涅音は祥子さんにとっては嫌なことがたくさんあるかもしれない、それは事実。それは僕も苦しくて。本当にごめんなさい。でも奏には祥子さんしかいません!」

    「奏くん・・・」
    (祥子はそう言われて恥ずかしくなった。大人げなかったと)

    「奏くん、あなたは奏くんなの?」

    「うん。もう言いますね。僕は、奏は祥子さんのことが大好きです」

    「え?」

    「でもだからどうしたいとは言えなくて・・・。悔しいけど涅音でもあるから」

    奏は溢れる思いが止まらなかった。

    「僕もわからなくて、どうすればいいのか。どうやったら僕の本当の気持ちを祥子さんに伝えることが出来るのか。純粋な気持ちを伝えても涅音がそれを遮ってしまって祥子さんに届かない」

    祥子は初めて奏からの告白に戸惑った。

    「奏くん・・・ごめんね、私、とても嫉妬したの。あなたが私だけの奏くんじゃないって口コミを読んでそう思ったの」

    「伝わらないかもしれないけど、祥子さんに対する気持ちは涅音の立場では営業になってしまう」

    「うん、完全には割りきれないけど、奏くんが伝えようとしてくれる気持ちは嬉しい」

    「良かった・・・」

    「ごめんね、何だか子供じみてたかもしれない」

    「いえ。変な話かもしれないけど、そんなに思ってくれてるんだって嬉しい気持ちもあったよ」

    「こんなに嫉妬させて嬉しいって何よ!ちょっと余裕すぎない?笑」

    「そんなことない!僕も同じぐらい、いえ、もっと好きです!!」

    「半分信じてあげる!笑」

    その夜、二人は遅くまでLINEで会話していた。




    ============

    この物語は以前ポストした内容が元になっています。



    結婚して家庭に入った時

    無意識に止めてしまった



    恋愛時計



    再び動かしたのが

    女風だとするなら



    電池を入れ換えた

    若いセラピストと

    恋愛年齢は同世代



    その時だけは

    動き続けてる

    時計を隠して



    臆することなく

    恋をしましょう



    その時あなたは

    自分が思うより

    かわいいんです



    気付いてますか?




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