【恋愛時計 第15話「涅音」】- 弦之介(amen)- 性感マッサージ

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  • 恋愛時計 第15話「涅音」
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    恋愛時計 第15話「涅音」

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    第15話 涅音

    「ただいまー」

    「ママ、おかえり!」
    紗弥が祥子の帰りを待っていた。

    「ねー、ママ聞いてよ!」

    「ごめん、ちょっと飲み過ぎて気持ち悪いからもう寝るね」

    「えー!もう、飲み過ぎちゃダメだよってパパも言ってたじゃーん!パパはもう寝てるよー」

    「うん、ごめんね、明日聞かせて、おやすみ」

    「わかったー。ゆっくりね。おやすみ」


    ベッドに入ると和夫にわからないようにしてすぐに調べた。


    女性用風俗ラブジョイの涅音(ネオ)。それが奏がセラピストとして働くお店と源氏名だった。


    プロフィール写真では顔を隠しているが、フォルムや髪の感じ、そして何より右手の甲にある二つのほくろ。

    ほぼ奏で間違いなかった。


    スケジュールを見るとほとんど埋まっていて売れっ子セラピストなのがわかった。本当は音楽の世界でこれぐらいの人気になるべき人なのに・・・そう思うと悔しさが込み上げてくる。


    写メ日記というのがあって、度々投稿しているようだった。祥子は6月24日の日記を確認したが、内容は見た映画の感想で演奏会については一切触れていなかった。

    (当たり前だよね、ここに書ける話じゃないし)


    ギターの動画もアップされていた。でもYouTubeのアーティスティックなものとはかけ離れていて、わかりやすい曲と演奏だった。


    (何で?どうしてそんなに自分を安売りするの?本当のあなたの姿じゃないじゃない・・・)

    少し悲しい気持ちになった。


    口コミという、奏と会った人が書く感想のようなものもあった。

    (こんなにたくさんの女性と会ってエッチなことしてるの!?え?何、何でこんなに詳しく書いてる人がいるの?)


    嫉妬だった。


    (奏の何がわかるの?本当の魅力は音楽の才能なのに)


    嫉妬が祥子の隠された一面を暴き出していた。そしてそれが奏に会ってみたい気持ちをより強くさせたのは間違いなかった。


    翌日、祥子はラブジョイに電話をかけた。何度もかけようとしてはやめて、またかけようとしてスマホをテーブルに置いて。

    意を決してかけたが、やっぱりダメ、と出る前に切ってしまった。


    すると折り返しの着信が来た。

    (え、うそ?)

    もう後には引けない、出るしかない。

    「はい・・-」

    「恐れ入ります、先ほどお電話いただきましたでしょうか?」

    「涅音さんとお会いしたいんですけど」
    緊張のあまりぶっきらぼうに話してしまった。

    「かしこまりました、ご希望日とコース、時間と場所はお決まりですか?」

    「えっと、初めてなので」

    「初めてのご利用ですね、ありがとうございます」

    勢いで電話したものの、コースは決めていなかった。

    「あー、えーと、デ、デートコースの120分でお願いします」

    「日時と場所はお決まりですか?」

    「あ、19日14:00に代官山で」

    「お名前をよろしいでしょうか?」

    「祥子です」

    「承知しました、少々お待ちください」

    (はー、予約を入れてしまった。どうしよう)

    「お取りできました」

    その後の説明はよく覚えてなかった。奏と二人きりで会える、そんな夢みたいなことが起こるのだから。



    ===========

    この物語は以前ポストした内容が元になっています。



    結婚して家庭に入った時

    無意識に止めてしまった



    恋愛時計



    再び動かしたのが

    女風だとするなら



    電池を入れ換えた

    若いセラピストと

    恋愛年齢は同世代



    その時だけは

    動き続けてる

    時計を隠して



    臆することなく

    恋をしましょう



    その時あなたは

    自分が思うより

    かわいいんです



    気付いてますか?




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