恋愛時計
第14話 転機
高校の頃、祥子はあまり学校に行かなかったが一緒に遊ぶ友達は何人かいた。その中の一人、美帆から久し振りに連絡があった。
「祥子、久し振り!元気?」
「うん、何とか家族4人でやってるよ!」
「今度仲良かったメンバーで同窓会やるんだけど来ない?話したいことたくさんあるし!」
「え!いいね!行きたい」
「うん、おいでー!詳細が決まったらまた連絡するね」
数日後、祥子、美帆、朋子、綾、潤子の5人が居酒屋に集まっていた。
ひとしきり昔話が盛り上がったあと、酔いが回ると話題は夜の夫婦生活になった。
「ねー、今どれぐらいしてる?」
美帆が訪ねると、大体みんな何年もレスという答えだった。潤子だけ、どや顔で昨日したよ!と話すと全員が拍手と爆笑だった。
「こう何年も日照り続きだと干上がっちゃうよね」綾が言うと
「ほんとほんと、潤い大事よ、ね、潤子!」
と朋子が受ける。
「さすが名前通りだわ」
美帆が言うとみんな爆笑だった。
笑いが収まると美帆が言った。
「ね、女風って知ってる?」
「何?じょふう?」
4人は口を揃えて言った。
「女性用風俗よ。男が行く風俗の逆よ」
「え!そんなのあるの?」
「でもいい男いるの?」
「お金払うのってなんだかなー」
そういう声が聞こえてきたが、美帆が女風で働くセラピストたちの画像を見せたら全員が声を失った。
「ちょっと待ってよ、この人たちが何をするの?」
「もちろん風俗だからエッチしてくれるわよ。それだけじゃなくて心も気持ちよくしてくれるのよ」
「エッチするの?!」
「最後まではできないけどね、それ以外なら何でもしてくれる」
「信じられないわー」
「美帆は使ったことあるの?」
「へへへー、お気に入りのセラピストがいるんだー」
そう言って指名しているセラピストの画像を見せた。
「えー!美帆、こんなイケメンとエッチしてるの?なんかズルい!」
「他にもたくさんイケメンがいるんだよー。この人とか、この人とか」
「わー、すごいねー」
話は異常なほど盛り上がったが、祥子は正直話についていけなかった。これまでの体験人数は一人、和夫だけだったからだ。
「ねー、祥子はバンドが好きだったからこの人とか好きかもよ?ギターの演奏をアップしてるみたいよ」
「えー、私はちょっと・・・」
そういいかけてはっ!とした。
「ごめん、ちょっと見せて」
「急にどうしたの?知り合い?まさかね!」
祥子は気付いた。右手の甲に並ぶ二つのほくろに。何度も何度もYouTubeで観てるから間違うわけがない。
(嘘でしょ、奏が風俗で働いてるなんて)
もっと詳しく調べるために店舗名と源氏名を写真に納めた。
「祥子、この人気に入ったのー?」
「あ、そうじゃないんだけどちょっと演奏を聴いてみたいなって思って」
「そっかー、色んな人がいて見てるだけても楽しいよ」
その後も話は盛り上がったが、祥子は奏がそのセラピストかどうか早く確かめたくて仕方がなかった。
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この物語は以前ポストした内容が元になっています。
結婚して家庭に入った時
無意識に止めてしまった
恋愛時計
再び動かしたのが
女風だとするなら
電池を入れ換えた
若いセラピストと
恋愛年齢は同世代
その時だけは
動き続けてる
時計を隠して
臆することなく
恋をしましょう
その時あなたは
自分が思うより
かわいいんです
気付いてますか?
弦之介の写メ日記
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恋愛時計 第14話「転機」弦之介