【恋愛時計 第8話「約束」】- 弦之介(amen)- 性感マッサージ

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    恋愛時計 第8話「約束」

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    第8話 約束

    約束の3年が経った。その間に和夫は契約社員として入社したイベント会社の社員になり、既にマネージャーに昇進していた。

    SWEET ANGERで培った企画力やバンド運営の経験と、元来持っていたアイディアマンとしての資質が開花したのだった。


    祥子は個人で始めたピアノ教室が近所の評判になり、新規の予約が取れないほどだった。母親とのギクシャクした関係も修復して充実した日々を送っていた。


    お互いが約束のために精一杯生きてきた3年間だった。


    祥子の28歳の誕生日、二人は下北沢で食事をしていた。


    「SWEET ANGERの最後のライブの日、俺が告白したあの日が祥子の誕生日だったなんてホントびっくりだよ」

    「ねー、でも今となってはあの日があったから今こうやって一緒にいれるんだもんね」

    「うん、一緒にいてくれてホントにありがとう」

    「え?何よー、照れちゃうよ」

    「あの日と変わらず、というかあの日よりも大好きだよ。誕生日おめでとう」


    そう言って差し出したのは祥子が欲しがっていたカルチェの腕時計だった。


    「え!嘘でしょ!どうしたのこんなに高いもの」

    「ほら、3年経ったから。その間にプレゼントしたくて貯めてたんだ」

    「かず・・・」

    店員がケーキを運んできて、ささやかながら二人で祥子の誕生日を祝った。


    だが祥子は少し期待していた。3年経ったら結婚して欲しいという和夫との約束を。誕生日プレゼントは婚約指輪だと思っていた。

    店を出て二人が歩いていると和夫が告白したコンビニが目に入った。

    「ちょっと喉が乾いたから飲み物買っていい?何か飲む?」

    「お茶のみたいな」

    「わかった、じゃ行こう」

    外に出て駐車場でお茶を渡すときしっかり手を握る和夫。

    「どうしたの?」

    スッと指に何かがはめられる感触があった。

    「あ!」

    祥子が気付くのと同時に和夫が言った。

    「この場所で告白してから3年が経ちました。マネージャーになりました。俺と結婚してください」

    サプライズだった。コンビニの駐車場でプロポーズなんて、お洒落でも何でもない。でも二人にとってはどこよりも大切な場所だった。

    「ちょっと待って、ビックリしちゃって・・・ふー、私でいいの?」

    「祥子じゃなきゃだめなんだよ。祥子と結婚したい」

    ビックリして閉じ込められていた歓喜が解放され、祥子は和夫の胸に勢いよく飛び込んだ。

    「かず!愛してる!」

    泣いて言葉にならない言葉。

    「絶対幸せにするから」

    二人は強く抱き合った。

    どこにいたのか、それを見ていた若者数人が拍手で祝福している。下北沢のコンビニの駐車場で1組のカップルが将来を誓い合ったクリスマスイブだった。


    ============

    この物語は以前ポストした内容が元になっています。




    結婚して家庭に入った時

    無意識に止めてしまった



    恋愛時計



    再び動かしたのが

    女風だとするなら



    電池を入れ換えた

    若いセラピストと

    恋愛年齢は同世代



    その時だけは

    動き続けてる

    時計を隠して



    臆することなく

    恋をしましょう



    その時あなたは

    自分が思うより

    かわいいんです



    気付いてますか?




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