【恋愛時計 第1話 「ライブハウス」】- 弦之介(amen)- 性感マッサージ

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  • 恋愛時計 第1話 「ライブハウス」
    弦之介
    恋愛時計 第1話 「ライブハウス」

    『恋愛時計』


    第1話 ライブハウス

    祥子はタバコの煙と汗の匂いが充満する仙台のライブハウスにいた。300人も入ればパンパンになりそうなハコだ。100人ちょっといるだろうか。男女比は半々ぐらい、殆どが10代から20代だ。

    祥子の目的はひとつ。青春をかけて追いかけているバンド「SWEET ANGER」のライブに参戦することだ。SWEET ANGERは東京を拠点とするバンドでどちらかと言うと男くさい音楽で男性ファンも多い。


    17歳から追いかけている祥子も今や20歳になった。堂々と各地を回れるようになってからはライブだけでなくその土地のお酒も楽しめるようになっていて既にほろ酔い加減だった。


    この日はツアーバンドでありながらトリだったのだが、早めに会場に入った祥子は他のバンドの演奏が退屈で仕方がなかった。綺麗な顔立ちで綺麗にメイクしているメンバーもいたが、男を感じられなかったからだ。仕方なく酒を飲みSWEET ANGERの出番を待った。


    いよいよSWEET ANGERの出番だ。祥子は前方に行って狂ったように頭を振って暴れる楽しみ方はしない。フロアの後方で硬派な音を放出するメンバーに男を感じながら悦に入るのが好きだった。特にお気に入りはギタリストのSHIN。生の彼のプレイと音が身体に刺さると、ある種のエクスタシーのようなものを感じるのだった。


    仙台でのライブはいつもよりお酒が入っていることもあり身も心も満足していた。ライブが終わり、メンバーが物販席で自分たちのCDやTシャツなどを販売している。インディーズでは当たり前の光景だった。

    祥子はいつものようにメンバーに伝える。

    「今日も最高でした」

    すぐに反応するのは決まってベースのSHIGEだった。

    「ありがとう!ステージから見えてたよ」

    祥子はSHINと話したかったが、彼は人気者だ。他の女性ファンたちが取り巻いている。

    「わざわざ仙台まで来てくれてありがとう」SHIGEが言うと祥子は「私の楽しみなので」と答える。このパターンも大体決まっていた。


    SHIGEはバンドの中で一番人懐っこいというか、自然体で分け隔てなく誰とでも話せるタイプだったが、ステージを降りると男くささは皆無で祥子にはいい人にしか見えないメンバーだった。

    少し待ってチャンスを伺ったがSHINの周りのファンはまだまだ離れそうもない。祥子はやれやれ仕方ない、という表情で会場を後にした。



    ============

    この物語は以前ポストした内容が元になっています。




    結婚して家庭に入った時

    無意識に止めてしまった



    恋愛時計



    再び動かしたのが

    女風だとするなら



    電池を入れ換えた

    若いセラピストと

    恋愛年齢は同世代



    その時だけは

    動き続けてる

    時計を隠して



    臆することなく

    恋をしましょう



    その時あなたは

    自分が思うより

    かわいいんです



    気付いてますか?




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