『山芋の教訓 最終章』
「それでビール買って泊めてくれんかね?」
その日何度目の「は?」なのかわからないが、最後に最強の「は?」が生まれた。
ふざけんなごらぁー!!!と胸ぐらをつかむ。
なんてことはしない、同じ穴の狢にはならない。
「約束があるんで」そう言って別れた。
今となっては道具を持ってきたあの家も、散々山芋を掘ったあの山も、男が乗っていた自転車も、結局男には何の関係もなかったのかもしれない。
世の中には平気で嘘をついて、平気で人を利用して、感謝の気持ちを持たない人がいる。
生きるためにそういった道を選ぶ人もいるし、それはそれで誰からも信用されない人生で大変なことだと学んだ。
そして今でも反面教師として心の中にあいつがいるのだ。
汚れたジーンズにジャイアンツ帽のあの男が。
弦之介の写メ日記
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『山芋の教訓 最終章』弦之介