『山芋の教訓②』
小一時間は歩いただろうか、少し開けた場所に出た。男は座りこむと信じられないことを言い出した。
「食べるものはないか?」
は?
何であんたに食べ物を渡さんといかんの?自分の分を持ってきてないの?ちょっとおかしいんじゃないの?ね、おかしいやろ?
「良かったらどうぞ」
持ってきたおにぎりをひとつ渡す。
「お前も食べれば?」男が言う。
いや、これおれのだけんね!!あんたが食べてるのもおれの、わかる?全部おれの!
「あ?はい」
自分の分を食べ始める。
水筒の水も欲しがる男。あげる。
なんだー、この状況!!と思いつつ、稼げるのならと我慢した。今、彼はある意味「クライアント様」なのだ。
『山芋の教訓③』につづく
弦之介の写メ日記
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『山芋の教訓②』弦之介