弦之介です。
ある失恋の痛み。
様々なシーンの想像によって生まれた、悲しみ、不安、焦り、自己嫌悪、怒りなど多くの感情の集合体のようなものが胸を締め付け、唇だけでなく胸の辺りまでも震えてどうしようもなく寒くなっていました。
その時僕は急いでお風呂を沸かして湯船につかるのでした。シャワーだけでは震えを抑えられないからです。
湯船で身体が温まってきてやっと落ち着く、そんな感じでした。
最初のうちは湯船につかる回数がとても多かったのですが、時の流れと共に徐々にそのスパンが長くなっていき、数ヵ月後には毎日の忙しさのおかげで思い出すことも少なくなっていたのです。
でも何かのきっかけで過去の映像が浮かぶとチクっとしてしまう。そんな状況が数年続いたでしょうか。
痛みがなくなったのはある出来事が引き金でした。
それはその女性からの報告でした。
「結婚して海外に行きます」
それまで心のどこかに、もしかしたら。。。と期待している自分がいたのだと思います。また一緒に夢を見られるかもしれないと。
でもその言葉で完全に目が覚めました。
この先の交わらぬ道がハッキリ見えたというか、現実と夢が分離してしまったというか。
清々しかったです。勝敗なんてないですけど、全力を出し尽くして敗れた試合の後の感覚に似ているかもしれません。
よく言いますよね、1%でも可能性があるなら諦めない!と。僕もそう考えるのですが、その言葉の裏は0%なら諦めるということ。
みなさんもそうじゃないでしょうか。
可能性があると思っている時はひとつの言葉がとても重要な意味を持ち、どう解釈すればいいのかわからなくなりますよね。
ポジティブに考えたいけど違ったときに傷つくのが怖い、でも信じたい自分もいる・・・。
ハッキリして欲しい!そんな心境だと思います。
僕は改めてハッキリ言われるのが怖くて言えなかったのですが(臆病者)、引き金となったその女性の言葉は最後の審判。
その日僕の痛みは思い出に変わったのです。
それから。
僕は改めて温かい人になりたいと、より強く思うようになりました。
つらくて震えているときに湯船で落ち着きを取り戻したこと、ちょっと変かもしれませんが本当に助かった事実を忘れません。
そして女風セラピストを始めてから。
前も書きましたが、みなさんの声から秘湯の宿のキャッチコピーが生まれました。
そのことで歩んでいる方向は間違っていないと実感できたんです。
患部を温めたり風邪をひいたら温かくするのと同じように、心に傷を負ったときも温かくすることで皆さんも落ち着くかもしれません。
だから不安や焦り、寂しさ、疲れなどの集合体を温めて溶かし、更に官能的な刺激でバリアさえも張れる、そんな存在でありたいと思うのです。
秘湯の宿というキャッチコピーは自分の経験からも言い得て妙かもしれないけど、実はハードルがとても高いのかもしれない、そんなことを考えていました。
「さあ溶けろ、心の痛みよ!」
弦之介の写メ日記
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溶けろ、心の痛みよ!弦之介