まず、突然の問いかけをお許し願いたい
みなさん、濡れツイはお好きだろうか
体感だがおそらく、この日記を読んでいるかたの約19割はあまり好きではないと思う
(嫌い+スパブロのダブルカウント方式)
だが、官能小説や言葉責めは必ずしもお嫌いではないはずだ
ではTLを流れてくる濡れツイの何が気に入らないのだろう
望まないタイミングで流れてくるから?
なんか鼻につくから?
語彙が少ないから?
表現が似たり寄ったりだから……?
てかそもそも裏アカってキツいよね……?
——しかし、その背景に理由があったとしたら?
抵抗するレジスタンスたち、濡言師たちの今に迫る
1周年記念特集日記 【濡言師たち】
〈メス、声が響く、奥の弱いとこ、オナホ、アクメ、イク、イジメたくなる〉
「「「「「〜の可愛い」」」」」
巷に溢れかえるのは、まるで並べられたパズルをランダム並べ替えたような濡れツイGPTだ
女風という、多種多様な発信をする界隈に慣れ親しんだ我々からすれば、
文章だけを武器に自己紹介を行うのは、一見してあまりに非効率な行動に思える
そもそも本当に彼らは生殖行為を主目的とした「裏アカ」と呼称される集団の一派なのだろうか?
あるいは、その辺境に住まうただ気の触れた自己表現者なのではないか?
その実、すでに中身は自己増殖を繰り返すAIに置き換わっているのではないか?
様々な憶測を呼ぶ謎に包まれた濡言師たち……
そんなことを考えているこの瞬間にも、彼らの手により1時間に何十回と投稿されるドスケベワードサラダがネットに放流されていく
だがその中に、まれに下腹部に響く濡れ名文が産まれ落ちることがあるのもまた紛れもない事実である……
実は、かくいう私も官能小説家のはしくれとしての強みを活かそうと思いたち、
この仕事を始めた初期に「濡れツイ」に挑戦したことがある
しかし下書きに残ったは誰かの心に届くべくもなき、見るも無惨の猥雑犯罪文章……
一体、何が違ったのか
悔しさ、あるいは好奇心から在野の濡言師たちを追い続けるうちに、あることに気がついた
濡言師たちが少ない語彙にこだわるのは理由があったのだ
みなさん、日本食を思い出して欲しい
旅館の夕食に出てくるような、皿数の多い上品な日本食だ
高校の修学旅行で行った京都のアレとかでもいい
具材は決して多くない
調味料などもってのほかだ
薄い味つけから上品な味わいを立ち上げていく
「和の心」
そう、濡れツイとは日本古来の手法により上品に仕立てられし絹で綴られた言葉たちなのだ
さらに濡言師たちがフワッとした表現にこだわる理由はもう一つある
昨今いっそう話題になっているアカウント凍結への対策である
まさしく取り締まられるべき対象が、なーにをぬけぬけと凍結対策じゃあ……と感じる方もおるやもしれないが
短命なれど少しでも長く生き、子孫繁栄を願うセミの命が如しこそ、濡言師の美学である
乳首だのクリだのと直接淫猥表現に頼ったが最後、〈100いいね 500インプレッション〉の罪人アカウントになってしまう残酷な世を生きているのだ
ではどうすればいいのか?
——驚くべきことに、すでに彼らはそのための術を身につけている
〈雌、首元、固定、痙攣、頚動脈、蓋をする、エッ…口、欲しい、接続、壊す、果てる……〉
そう、どうしても検閲対象にするわけにはいかない単語に相乗りするのだ
これにより検閲を避けながら濡れツイをもっと湿らせていくことができる
さらに、流行っている表現を避けることで差別化と検閲対策を両立させていき、
その最奥に至ることで、ついに顕現するのが濡言師としての「個性」である
これぞまさに、官能小説が歴史の中で歩んだ伝統芸能の花道であり
かくして偶然にも生じた個性ある、薄く豊かな言葉の味わい……
濡言師とは、まさにイーロンが産んだ「文学」の師たちである
彼らが「出会えている」のかどうかなど、もうこの際どうでもいい
現代の最前線においてなお検閲と戦い、官能を己が武具とする愚かなる賢者である彼らに最大限の敬意を表したい
さあ、この日記を読んだあなたもぜひ、もっと人がバシャバシャになるような濡言師になってみませんか?
紐付けられた表アカウントごとまとめて凍結しても責任はとれませんがね……
とかなんとか書いてみましたが、
伸びてる濡れツイってほとんど言葉責めしながら挿入してるだけだし、なんか一度伸びるようになっちゃえば直接表現アリでも伸びるし
実際は別になんも奥ゆかしくないですよね
(本駄文は全て確固たる妄想に基づいて書かれておりますのでご安心ください)
終
それにしても久々に日記を書いていて思うんですが
検閲を一切気にせず書けるSNSってすごいですよね
kaikan、最高!
瀬戸口めぐるの写メ日記
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濡言師たち瀬戸口めぐる