スーパーのトイレットペーパー売り場で
天井へと続く七色の壁面を見上げるたび、
これほどまでに豊かなトイレットペーパーの多様性を
一体この世界の誰が求めているのだろうかと不思議に思う
用途は一つしかないし、性能差もほとんどないはずだ
そんなものの中から金額だとか何枚重ねだとかを見比べて、うち一つを選び抜かなくてはならない
これは我々の望んだ豊かさなのだろうか？
トイレットペーパーの機微に疎い消費者であるところの僕には正直、
徒労だ
としか思えない
コスパ、デザイン、抽象的な売り文句、やたらと文字数の多い性能表示……
そのほとんどが実際の使用感から距離を置いた表現で、そんな空中戦で差別化されても困る
困るよ
だが、それは僕自身にも言えることなのかもしれない
特徴、得意なこと、好きなこと……
いまいち掴めない売り文句とパッケージという意味では、ピ業のSNS運用によく似ている
だけどもし僕がトイレットペーパーだったとして
ただ左右を真似て棚に馴染むのは、苦手だ
そもそも、自分が誰かにとっての徒労になるくらいなら、
いっそトイレットペーパーらしく在ることなど諦めてしまうだろう
とはいえその一方で
「僕はイカしたトイレットペーパーだよ」
と発信を続けることも、楽ではなさそうだ
そう思うと、棚に並ぶトイレットペーパーたちが少しだけカッコよく見えた気がした
………………
…………
……
……こうして僕は今日もまた、トイレットペーパーを買って帰るのを忘れた
きっとまた近い未来に慌てて深夜のコンビニに駆け込み、
せいぜいシングルかダブルかの2種類しかないトイレットペーパーのどちらかを買うことになるだろう
ありがとう、コンビニ
以上、日記でした
瀬戸口めぐるの写メ日記
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トイレットペーパーの日記瀬戸口めぐる
