マグカップが好きだ
可愛らしいフォルムで、壊れにくいし、美味しくコーヒーを飲むための実用品でもあるし、
僕のような物持ちのいい人間には生涯のパートナーにだってなりうるのだ
とくに、水色の分厚いマグカップがお気に入りだった
僕の家に水色のものは、ほとんどない
だから気に入った
コーヒーを淹れるときは必ず使ったし、そのあとは必ず丁寧に洗った
なのに、割れてしまった
不注意から他の食器にぶつけてしまい、嫌な音がして、それまでだった
排水溝をひっくり返してみたがどうしてもいくつかの破片が見つからなかった
まぁ実用品なのだから、そういうこともあるだろう
不燃物の収集日を調べたあと、あらためてそれをながめた
マグカップの断面は鋭利で、軽く触れただけで出血してしまいそうだった
それは、その辺に置いておくにはあまりに危険で
マグカップを失ったことよりも、なぜかそのことが何よりも悲しかった
僕は、マグカップが好きだから
瀬戸口めぐるの写メ日記
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マグカップの日記瀬戸口めぐる