【同僚以上、主従未満 第1話 -4/11-】- 瀬戸口めぐる(amen)- 性感マッサージ

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瀬戸口めぐる

瀬戸口めぐる  (30)

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  • 同僚以上、主従未満 第1話 -4/11-
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    同僚以上、主従未満 第1話 -4/11-

     最上階の4人部屋だけあって、広くて清潔感のある部屋だった。


     にも関わらずベッドは部屋の真ん中に一つあるだけで、この部屋の限られた用途を浮き彫りにしている。


     照明のスイッチは全て切られ、隅に置かれた優しい色の間接照明だけが、弱々しく部屋を照らしている。


    「えっと、お風呂とか、入ります?」
    「まぁ、そりゃあ」

     永瀬君と私は、ワイシャツ姿で並んでベッドに腰掛けていた。

     互いを盗み見ながらも、視線は決して交わらない。
     ただ2人の手のひらだけがすぐ近くで互いをにらみ合っていた。

     そして正面を見れば、私のことは気にせず始めなさい。と言わんばかりに腕を組んだ課長が、真っ赤なソファーに腰掛け見守っている。


     いやー、気まずい。


    「じゃ、お先に……」
     永瀬君が、なかば逃げ出すかのように素早く風呂場へと立った。
     彼の背が見えなくなったところで私は大きなため息をつく。

     なんだか今日はため息ばかりだ。

    「悪いやつじゃないんだよね、あいつ」
     課長が、空いたばかりの私のとなりへゆっくり腰をおろした。

    「少し優しすぎるってか」
     落ち着いた色の照明が彼の真剣な表情を照らした。陰影の深い横顔は、月9ドラマの刑事役でもいけそうな大人の色気をはらんでいる。

    「いやそもそも課長が口はさんで来なくていいんですけど」
     視線を逸らし、なんとなく早口になって反抗する。
    「そうか」
     課長が気だるげにネクタイをゆるめた。
     
     真似たわけではないが、私もブラウスのボタンを少し外した。


     さきほどから、晩春の夜にしては妙に蒸し暑い。


     首筋を汗がつたっていき、下着の隙間へと消えた。


    「ていうかここ、ちゃんと空調ついてます?」

     エアコンのリモコンに伸ばそうとした私の手に、ゆっくりと、浅黒い大きな手が重ねられた。

     骨ばった課長の手は、しっとりと熱を帯びていた。

    「ちょっと、なに、するん……」



     困惑しながら顔を上げた、その瞬間に。









     私は、唇を塞がれていた。


    「〜〜〜〜〜っ!」

     きゅう。と上品な音を鳴らしながら、課長の薄い唇が離れていく。



     遅れて口の中から、アルコールと加熱式タバコの匂いが逃げていった。




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    (840文字)




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