深夜の円山町の地下で君がつぶやいて、
エイジアの喧騒がそれをすぐに掻き消した
音楽と思わしき振動、その上で濁った会話
この世には正しいものなんて何もないんだと恥ずかしげもなく言えた二十歳の冬
無理矢理押し込んだロッカーの扉を閉めて、タバコと現金だけでフロアを渡り歩いた
僕は軽音サークルを半年で辞めて、君は浪人して入った美大で留年していた
喜びに飢えていたが、感動を拒否していた
君がもっと揺れろと言ったとき
実は僕はもう夢から醒めていた
いくら夜を使い果たしても何も残らず
ただ人と人との繋がりだけが街灯のように都会を照らしていることに気づいていたから
彼は、今もまだ彼を続けているのだろうか
僕はただその後ろ姿だけを真似て、今もまだレザージャケットを着ている
瀬戸口めぐるの写メ日記
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「もっと揺れろよ」瀬戸口めぐる