……闇の中に僕は棄てられていた。
用の済んだ玩具として、あるいは枯れてしまった花として。
その背に、薄く足音が響いた。
ぬたり、ぬたり。
肉食獣が当然そうするように、
ゆっくりと獲物を値踏みする足運びで近づいてきたその真っ黒い男は、
突然飛び上がると……
アッ、と言う間に僕を組み伏せた。
なぜか音はしなかった。
この後もずっとそうだった。
そして男はおもむろに、闇の中から手繰り寄せた大蛇のような縄を僕の身体に乗せると、
魚群のように優雅に滑らせた。
そのまま男はぬるりぬるり、と僕の周囲を舞うと
その跡に縄が曳かれていった。
そしてとうとう最後には、僕は最小規格の檻に閉じ込められてしまったのだった。
だが本当に恐ろしいのは、その後のことだった。
男が、懐より取り出した真っ赤な口紅を僕の口元へ添えたのだ。
僕はようやく理解してしまった。
あぁ、なんということだろう。
その真っ黒いけだものは、僕を花嫁に迎えようとしているのだ……
………………
…………
……
とまぁここまでの展開がほんの4、5分だったでしょうか。
永遠のように思えた計30分足らずの尺、
実に濃密な見せ物と成らせて頂きました。
この続きはネタバレになってしまうので、知るのは実際にショーを見た方のみにしておきましょう。
【個人の感想】
まず縄に関しては断言しますが、気持ちよさしかないです。
もちろん上野さんの達人芸ありきの話にはなりますが、ただただ自由を奪われていくingなシチュエーションが精神的な隷属感に集中させてくれます。
その中でも特に後手は羞恥の要素が強く、刺さる人には刺さりそうだなーと思いました。
SMには興味があるけど痛みに抵抗がある、という方は、まず後手を縛られてみても良いのではないのでしょうか。
次に、鞭。
痛くないよ、と散々事前に言われていたにも関わらず普通に痛いやんけ!!だったのですが……!
絶妙な当て感の成す技か、その場では痛くとも気付けばサッと引いていき。
その後のご褒美タイムがより甘く感じられ。
正しく飴と鞭でした。
(2度と受けてなるものか……)と思った鋭い痛みすらも終わってみれば、また体験しても良いかな〜と思ってしまうほどでした。
実質ディズ◯ーランドですね。
数度のブラフのあと、とっておきの本命が来るのもアトラクション感がありました。
ジェットコースターってSMなのでは?
とにかく、あとを引かない炭酸水のような爽やかな痛み……
「痛み」という感覚の上澄みの部分だけを丁寧にさらうかのような妙技には参りました。
特に肌の弱い僕に対してほぼ全く痕を残さなかったのは達人芸と言うしかありません。
あとついでに、どういう理屈なのかわかりませんが自律神経がすこぶる整いました。
テストステロンとかドーパミンもでてたきがする。
上野さん、何から何までありがとうございました……
演目として……
は僕は演者側に立っていたので感想は伝えづらいのですが、それなりに見応えのあるものになっていたかとは思います。
なにより終演後、みなさまから代わる代わる「えっちだった」との感想をいただき光栄でございました。
あくまで「僕は」の話ですが、
やはり「えっちだった」の一言が励みになります。
あと興奮します。
しかし、ここまで書き連ねておいてですが、やはり僕は痛み自体には今のところ特に興奮しないようです。
なんならシバかれてる最中に(うわこれ上野さんめっちゃ楽しそう……)と思ってしまったので、やはり僕はS寄りっぽいです。
その一方、観衆に見守られながら服を剥かれていくシチュエーションは普通に楽しかったので……どっちも楽しんでいきたいですね!
またいつか機会があれば大人数に囲まれてみたいものです。
【今回のショーでわかったこと】
・SM見ながらお酒を飲むとおいしい
・上野さんは80デニールのタイツを歯で破ける
・瀬戸口めぐるは物理S 精神M
最後に改めまして、
SMの界隈とは無縁だった僕に
数奇なご縁から貴重な機会を下さった
責め師、上野幸隆さまに最大の感謝を。
素敵なえっち写真を撮ってくれた夏姫さん(@729_iamthatiam)も、ありがとう。
そして偉大なる先人たちの作ったSM、BL文化へ最大のリスペクトを。
BIG LOVE…………
瀬戸口めぐるの写メ日記
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昨日は上野幸隆BLショウin女風バーへご来場いただき誠に有り難う御座いました。瀬戸口めぐる