みなさん、焼き芋セラピストの洋平です。
タイの紫芋に続き、今回はベトナムの白芋文化についてお届けします。
【白芋との運命的な出会い】
ホーチミンから北へ150キロ、ダラット高原で出会った「クホアイ・チャン」(象の芋)は、その名の通り大きくゴツゴツとした見た目の白いサツマイモです。
現地の農家、グエンさん家族が代々守り続けてきたこの品種は、外見からは想像できない繊細な甘みを持っています。
【高原栽培の秘密】
標高1,500メートルのダラット高原は、年間を通して冷涼な気候が特徴です。この環境がクホアイ・チャンの栽培に理想的なのだとグエンさんは語ります。
特に朝晩の寒暖差が大きい乾季(12月〜4月)に収穫される芋は、デンプンの糖化が進み、まるで和三盆のような上品な甘さになります。
【伝統的な保存方法】
ベトナムの白芋には、独特の保存方法があります。収穫した芋を竹で編んだカゴに入れ、軒下に吊るして保存するのです。
風通しの良い場所で2週間ほど寝かせることで、芋の中の余分な水分が抜け、甘みが凝縮されていきます。この光景は、まるで干し柿を想起させます。
【市場での評価】
ホーチミンの市場では、クホアイ・チャンは「プレミアム・サツマイモ」として高値で取引されています。
特に旧正月(テト)前には価格が通常の2倍以上になることも。白芋は縁起物として贈答用にも重宝されているのです。
【白芋料理の多様性】
ベトナムの白芋料理で特筆すべきは、その多様性です。蒸して食べる基本的な調理法から、「チェー・クホアイ」という伝統的なスイーツまで、様々な食べ方があります。
中でも私が感動したのは、「バイン・クホアイ」という白芋のもちもち饅頭。生地に白芋のペーストを練り込み、中にココナッツとピーナッツの餡を詰めた逸品です。
【現代的なアレンジ】
ホーチミンのカフェでは、白芋を使った新しいメニューが人気です。白芋のレアチーズケーキや白芋のティラミスなど、ベトナムと西洋の融合した斬新なスイーツが次々と生まれています。
特に白芋のアイスクリームは、その清らかな甘みとクリーミーな食感で若者を中心に支持を集めています。
【焼き芋職人の視点】
ベトナムでも焼き芋文化は存在します。しかし、日本やインドネシアとは異なり、炭火ではなく蒸し焼きが主流。「ロー・クホアイ」と呼ばれるこの調理法は、芋を新聞紙で包み、低温でじっくりと蒸し焼きにします。
この方法により、白芋特有の繊細な甘みを損なうことなく、しっとりとした食感を引き出すことができるのです。
【未来への期待】
最近では、ダラット高原の若手農家たちが有機栽培に挑戦し始めています。環境に優しい農法で育てられた白芋は、より深い味わいがあると評価されています。
また、品種改良にも力を入れており、皮の薄い新品種の開発も進んでいると聞きました。
私たち焼き芋セラピストにとって、ベトナムの白芋文化は新しい発見の宝庫です。
見た目は質素でも、その中に秘められた味わいの深さは、まさに「素材の真髄」を教えてくれます。
次回は、韓国のお芋文化に迫ります。
アジアの芋ロード、まだまだ続きますよ。
それでは、白芋の清らかな香りとともに、また会いましょう。