みなさん、焼き芋セラピストの洋平です。
前回のインドネシア編に続き、今回はタイの紫芋文化についてご案内します。
【タイの紫芋との出会い】
バンコクから車で2時間、ナコンパトムの芋畑で目にしたのは、一面に広がる深い紫色の葉。タイの紫芋「マンムアン・ダム」(黒いマンゴーの意)は、葉まで紫色をしているのが特徴です。
生産者のソムサック氏が語るには、この品種は1970年代に台湾から伝わり、タイの気候と相性が抜群だったとのこと。
【栽培の特徴】
タイの紫芋栽培で興味深いのは、雨季と乾季を利用した二期作です。雨季(6月〜10月)は自然の恵みを活かし、乾季(11月〜5月)は伝統的な灌漑システム「ムアンファイ」を活用します。
ソムサック氏によれば、乾季の方が甘みは強くなるものの、雨季の芋の方が色素が濃くなる傾向があるそうです。
【タイ独自の加工品】
紫芋は生食よりも加工品として親しまれています。特に目を引くのが「カノムマンムアン」と呼ばれる紫芋のペーストを使ったデザート。ココナッツミルクと合わせることで、濃厚な甘みと鮮やかな紫色が際立ちます。
私が感動したのは、このデザートに使われる紫芋ペーストの作り方。蒸した紫芋を熱いうちに裏ごしし、パンダンリーフの香りをつけるという繊細な工程があります。
【市場での評価】
バンコクのオーガニック市場では、紫芋製品の人気が急上昇中です。その理由は、アントシアニンという色素の健康効果が注目されているから。
「美と健康」を求めるバンコクの若い世代を中心に、紫芋スムージーや紫芋チップスが新たなスーパーフードとして支持されています。
【伝統と革新】
伝統的な市場では、茹でた紫芋をココナッツの削り節とパームシュガーで味付けした「マンムアン・トム」が定番のおやつです。
一方、最近のカフェでは紫芋のラテやパフェなど、インスタ映えする新しいメニューが次々と生まれています。
私が訪れたバンコクのカフェでは、紫芋のモンブランが人気メニューでした。日本の和栗モンブランを紫芋で再解釈した、まさにクロスカルチャーな一品です。
【焼き芋との違い】
タイでは意外なことに、紫芋を焼き芋にすることは一般的ではありません。
その理由を探ってみると、タイの紫芋は日本の品種と比べてデンプン質が多く、焼くと少し粉っぽくなってしまうためだとわかりました。
その代わり、蒸して使うことで、なめらかな食感と鮮やかな色合いを最大限に活かしているのです。
【未来への展望】
近年、タイの農業研究所では、焼き芋に適した紫芋品種の開発も進められています。
日本の焼き芋ブームの影響を受け、タイでも焼き芋文化を取り入れようという動きが出てきているのです。
私たち焼き芋セラピストにとって、タイの紫芋文化から学ぶことは多いですね。
品種や気候に合わせた最適な調理法を見出し、伝統と革新のバランスを取りながら、新しい食文化を創造していく。
それは、まさに焼き芋の可能性を広げることにもつながっています。
次回は、ベトナムの白芋文化に迫ります。
アジアの芋ロード、まだまだ続きますよ。
それでは、紫色の夢とともに、また会いましょう。