vol.2『実樹のドZINE』
都内の一人暮らし。
コタツは置いていない。
思わず寝てしまって、変な時間に起きてヨダレと体のギシギシ感に後悔を募らせるって"贅沢"がちょっと恋しい。
いや"堕落"のほうが意味合いとしては近いかも知れないね。
「恋に落ちる」とは言うが「愛に落ちる」とは言わないのが面白い。
「恋を捧げる」とは言わないが「愛を捧げる」とは言う。
恋と愛に続く接続語の明確な種類分けに関しては、強い意図を感じていて、日本人は長らくこの違いを問い続けているのだろうと思った。
『彼氏』と『彼ピ』は違ったりするわけでますます混乱する中、たったひとつ確かなことがあるとするならば「香水のせいだよ」
佐伯ポインティが先輩に言われたとして「恋は自分中心に世界が回ってて、愛は相手中心に世界が回ってるよね」と呟いていてポインティ同様に感銘を受けた。
爽やかにスケベな人は視点がよい。
三島由紀夫は『愛するということにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠の素人である。』と言葉を残し、僕はその言葉のぼやけた輪郭を映画『嫌われ松子の一生』に見出した。
それも華やかに見出し憧れてしまったのだ。
僕だって人間の恋や愛や情念の領域に関心が強い。
自分の愛する領域に対する、うっすらとした女性への敗北感を補完するようにエロス及びセラピストとしての道を選んでいるのかも知れない。
タイミングと気分で全ては決まる。
君が僕を必要としてくれたとて、それは本当に"たまたま"なんだ。
例えば、たまたま忍たま乱太郎のきり丸が初恋相手の君がたまに溜まる多摩センターのたまプラーザにて、キリ丸に陽気さが似てそうな丸顔の実樹が気になって乗り気になってくれただけ。
でも、その"だけ"に僕は日々を懸けてるわけで、フワッとした運命とは裏腹に大切にしてやろうと企んでいるのである。
どこかの原住民族は祭事や戦いの前に目尻とか頬に泥を塗る。
この世界がたとえ醜くて、泥だらけで、遊んでるうちにいつの間にか僕らの全身が泥に塗れていたとしたら「これで舞えるね、戦えるね」と称賛しあおうじゃあないか。
そんな奇妙な幸福論を今の僕は目指してみたい。
【東京/横浜萬天堂】実樹/みき
Twitter @miki_mantendo
実樹の写メ日記
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vol.2『実樹のドZINE』実樹