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実樹の写メ日記

  • 無題
    実樹
    無題

    第41回『実樹の禁断賞状』



     



    2025年7月15日。



     



    東京、大雨、強風。



    雨ニモマケズ風ニモマケズな皆さま……



    偉かったです!!!



     



    事前告知された台風の脅威、そうでもないってあるあるとして成立してません?



    逆に突然到来した台風の風、マジで強くて何もかも薙ぎ倒す感じする。



    訳アリの親戚と一緒ですね。



    すんごいトラブル持ってきたりするんだから。



     



    それはそうと。



    僕は台風にちなんだ物語——



    『あらしのよるに』



    って絵本が大好きでした



     



    ーーー



     



    表彰状「童話「あらしのよるに」の話になって「私だったらヤギ食べちゃってた」と発言し、すべてを失ってしまった人へ」



     



    童話『あらしのよるに』__



    暗い嵐の晩、ある小屋に、ヤギの「メイ」と、オオカミの「ガブ」が偶然逃げ込み、



    暗闇のなかでお互いの正体を知らぬまま心を通わせる、禁断の友情ストーリー。



     



    「ガブ」は草食のヤギを食べる側の捕食者。



    「メイ」は食べられる側の命。



    けれど、お互いに名前を呼び合うことで、“もう食べない・食べられない関係”を選び、種族の壁を超えて手を取り合おうとする。



     



    そんな美しいお話です。



    涙なしには語れぬ珠玉の名作。



     



    それなのに——君は言ってしまった。



     



    職場の昼休み。



    唐突に始まった、子どもの頃に好きだった絵本の話。



     



    後輩がうっとりと



    「わたし『あらしのよるに』が好きで…!」と語り始めた。



     



    そのチョイスに(かわいいな)って吹き出しを浮かべる男性陣。



    それを見て、君はイラッとしたのかも知れませんね。



     



    後輩の「『あらしのよるに』が好きで…」を受けての君の感想。



     



    「私だったらヤギ食べちゃってた」



     



    その瞬間、空気が凍った。



    オフィスの空気清浄機が全力運転を始めた。



    観葉植物のパキラが悲しげに葉を落とした。



    窓の外に屋上から落下する部長が見えた。



     



    「えっ……?」



    「いや、でも友情の話じゃ……」



    「それ、言います?普通……?」



     



    ザワ……ザワ……ザワ……



    ギャンブルしてるわけでもないのに カイジ の音が流れる。



     



    無言のまま、昼休みは終わった。



     



    数時間後、君は上司に呼び出された。



     



    「お昼休みの『あらしのよるに』の話を聞いたよ。



    この発言が本当なら……一種の反倫理的発言として、社内的に扱わなければいけない。今日はもう帰って」



     



    強制退社を余儀なくされた君が会社を出る間際、



    普段はにこやかに「お疲れ様でした」と労ってくれる警備員さんの舌打ちが聞こえた。



     



    項垂れて歩く。



    そんなにダメな一言だったのか……?



    会社の忘年会がジンギスカンだったこともあるじゃないか……



     



    帰り道に生まれたモヤモヤを、行きつけの中華屋で冷やし中華を頬張りながら彼氏に話した。



     



    「ジンギスカンは羊でしょうが!」



     



    *『北の国から』*の「まだ子供が食べてる途中でしょうが!」のテンションで叫ばれた。



    「なんでそういうこと言うの?」と眉をひそめられ、



    餃子を2枚、投げられた。



    最愛の彼氏に餃子を投げられながらも「1枚、2枚」と数える私は偉いと思う。



     



    翌朝、親からLINEが来ていた。



    「会社からもトオル君からも連絡が届きました。あなたが“ヤギ食べたい”と言った。そんな子に育てた覚えはありません」



     



    実家のLINEグループから削除されていた。



     



    ネイリストのお姉さんにもLINEしたが、既読がつかないまま3日。



    ようやく返信が来たと思ったら、



    「無理かも」の一言。



     



    気分転換に美容室に行ったら…担当してくれてた美容師のお姉さんが辞めていた。



    理由を訊くと、



     



    「お客様のせいです。噂で聞いていました……お客様の“ヤギ食べちゃってた”という言葉に、心が耐えられなかったらしくて…」



     



    キャンセル不可だった美容室代8,800円が虚しく引き落とされた。



    それはおかしいとクレカ会社に電話したが「倫理的に支払停止はできません」と告げられた。



     



    道すがら、トイプードルにおしっこをかけられた。



    飼い主のマダムに、



     



    「ごめんなさい!…あ、なるほど。ヤギを家畜としか思わない方には、お似合いの所業ですわね」と言われた。



     



    気づけば、職場では**「ヤギ喰いさん」**と呼ばれていた。



    人事評価のファイルに「情緒が不安定かつ倫理観に欠ける」と書かれていた。



     



    「私だったらヤギ食べちゃってた」



     



    その一言で、全てを失った。



     



    むしゃくしゃして予約してみた初めての女風。



    まるでバチが当たったかのように台風がきた。



     



    どしゃ降りの雨の中、ラブホ難民に陥ってしまい、



    「あれ〜?どっちだっけ?」とスマホ片手に右往左往する、セラピスト。



    「なんだよ…マジで最悪なんだけど」とボソッと呟く、セラピスト。



    「え?てか、よく利用してるっすか?」



    「逆にラブホに詳しかったりして〜?」



    「ねーw 前髪死んでっからw」



     



    君の心に、静かに嵐が吹き荒れている。



     



    僕は、君の毒気の効いた愛嬌を愛し、



    深い敬意を込めて、この賞を贈ります。



     



    東京萬天堂・実樹



     



    ーーー



     



    『あらしのよるに』って。



     



    「お前を食べたい」と思う自分と、



    「でもお前を失いたくない」と思う自分が戦っているという点では、



    “性愛”そのものですよね。わかりみ。



     



    普通に生活してて



    (あ、この一言でさっきのあの人の発言を喰うことになるなぁ)



    とか思っても



    (いいや!食べちゃえ!)って気持ちで、ムシャムシャ思い切ることもありますよね?



     



    ただお人好しなだけでは、



    僕らは生きてはいけませんからね☺️



     



    【X】



    @miki_mantendo