第35回『実樹の禁断賞状』
2025年6月13日。
「ヘイ、ベイビー♪」
とか
「レッツ、ワルツ(指パッチンをして)」
とか
「君、グルーヴがいいね(カクテルを掲げながら)♪」
とか
言える男になりたい
現実は…
「あ、あの、あ、あ、えっ、えっ、えっ、湿気、す、すごいですね!」
です
突然ですが皆さんは
"ラブホテルの延長料金"で
悔しい思いをしたことはありませんか?
意外とバカにならない…
ホテルによって5分オーバー赦してくれるところもあれば、1秒の遅れすら赦してくれないところもある…
カラオケみたいにコールをくれないホテルがほとんどです
事後のうたた寝の代償は大きい…
そんなことがきっかけで"人間をやめてしまう"ような人もいるかも知れませんぜ。
ーーー
表彰状「ラブホの延長料金が払えなくなったので、屋根裏に隠れて、そのまま棲みついてしまった人へ」
あなたは、女風で気持ちよくなりすぎた。
好きピへの当てつけのように呼んでみた、
全モザの新人。
大当たり。
120分おすすめコース。
大満足なり。
天晴れと拍手を送り、
「私はもう少しゆっくりするから、先に出て大丈夫だよ〜。今日はありがとう♡またね♡(よかったけどリピはしないんだなこれが)」と挨拶して、
1人ベッド横になりけり。
パタリ。
…
…
…
気がつけば、窓のそと、暗し。
ホスト、アフター、嬢と並びし。
時計をみる。
退室予定時刻を9時間越えている。
延長だ!
延長。
延長。
延長。
ホテルのサイトを開いて、延長料金を計算する。
総額、108,000円。
涙。
アイメイクを落とすまいと、空を見上げる。
天井。
おもむろに身体が動く。
クローゼットを開け、天井板をそっとずらす。
配線と埃をかき分ける。
遠くに見える、隣の部屋のネオンの光、
そして喘ぎ声。
あなたは、
そのまま屋根裏へと消えた。
以降、あなたは「ラブホテルの屋根裏に棲みつく妖怪」となった。
その存在は、決して気づかれぬ…
だが確実にラブホを訪れる人々へ…
小さな違和感を与え続けている。
妖怪の所業その一、
【自動で止まるはずのお風呂の蛇口をふり出しに戻す】
泡風呂の泡が爆発して、浴槽を凄惨な事件現場へと変化させているのはお前の仕業だろ
妖怪の所業そのニ、
【歯ブラシを入れたコップの配置を入れ替える】
「あれ、どっちが俺のだっけ?」「え?えっと…あれ、こっち…が私だよね?」
混乱を与え、唾液粘膜の交換を余儀なくする、鬼畜の所業
妖怪の所業その三、
【照明スイッチの設定を微妙にズラす】
何度やっても調光がうまくいかない。ちょっとの明かりでいいのに、ガッと真っ暗になってしまう。1番恥ずかしい場面で、ライト全開に!
よくないぞ
妖怪の所業その四、
【冷蔵庫に謎のプリンを置いておく】
「なんか入ってる」「なにこれ」それはカラメルソースがぐちゃぐちゃになったプリン。
身に覚えのない"崩れたプリン"がめちゃくちゃ怖いぞ!
やってくれたな
妖怪の所業その五、
【電マのコードをこっそり短くしておく】
届かないだろ!「やめて〜」と叫んでたはずの彼女の方が、本当にやめることになって残念がる始末!
女子に恥をかかせるんじゃない
妖怪の所業その六、
【ベッド横のティッシュをヤスリに換えておく】
「ふぅ。ティッシュティッシュ…」彼氏、事後、血だらけ!
あなたの悪戯は、
愛の渦として「ちゃっちゃなトラブル」と「種類のわからないメモリー」を残していく。
ラブホの“泡”のように儚く、
ラブホの“延長”のように予定外で、
ラブホの“清掃員"のように突然現れる。
その哀しき成れの果てに、せめてもの尊厳として、ここに賞を贈ります。
東京萬天堂・実樹
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『乱暴と待機』って映画があったんですが、
浅野忠信さんが、
屋根裏から男女の営みを覗いてるんですが、
あんな感じの人が、
もしかしたら本当に、
日本全国のラブホテルのどこかに、
いるかも知れない…。
[X]
@miki_mantendo
実樹の写メ日記
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第35回『実樹の禁断賞状?』実樹