ほどけた糸は<br />
きっと、もう戻らないと思ってた
言葉が一つ、ずれて<br />
気持ちが一つ、遠ざかって<br />
心の奥に 無音の風が吹いた夜
「もう無理かも」<br />
そう呟いたのは、<br />
ほんとうは 終わらせたいからじゃなかった
苦しかっただけ<br />
見てほしかっただけ<br />
あなたの手が まだそこにあるって<br />
信じたかっただけ
それでも<br />
待って、<br />
黙って、<br />
涙の中で 名前を呼んだ
──その声が届いたとき<br />
あなたは言った
「やっと会えたね」
まるで──<br />
光の届かない静かな底から<br />
ひとすじの細い蜘蛛の糸に<br />
そっと願いをかけるように
その言葉に<br />
壊れたものが 音もなく<br />
静かに、柔らかく<br />
結びなおされた
きつくなくていい<br />
ゆるくてもいい<br />
でも今度は、<br />
ほどけてもまた、結べる蜘蛛の糸だと知ってるから
また、一緒に歩こう
「いつか」じゃなくて<br />
「今ここから」
ふたりの物語を、続けよう
龍生の写メ日記
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無音の風と言葉と、蜘蛛の糸龍生