東京萬天堂

東京/性感マッサージ/新宿発 関東近郊スピード出張 

「Kaikan(カイカン)を見た」とお伝え下さい!
090-8811-7223

龍生の写メ日記

  • ピラミッドと地下室と、無音の瞳
    龍生
    ピラミッドと地下室と、無音の瞳

    今日も地下の臭気が漂うバックヤードで、<br />

    僕は黙々と汚れ仕事をしていた。<br />

    冷凍庫の中で震えながら長時間の作業、<br />

    天井裏を這いずるように進むホコリまみれの通路。



    寝る場所は、ボイラーの爆音が鳴り響く、<br />

    高温多湿の地獄のような部屋だった。



    それでも地上では、<br />

    キラキラした制服のスタッフたちが<br />

    笑顔で&ldquo;フロント&rdquo;を飾っていた。



    うらやましいと思った。<br />

    同時に、あそこに行ける気がしなかった。



    学生時代、クラスではそこそこ成績も良かった。<br />

    けれど、進む道をほんの少し間違えただけで、<br />

    僕はこの底に落ちた。



    この建物は、ピラミッドだった。<br />

    上層の光のために、下層が犠牲になる構造。<br />

    それが現実だった。



    ある日、疲れた身体を引きずって<br />

    気晴らしに街へ出た。



    小さなライブハウス。<br />

    隣に座った女性に、なぜか声をかけた。<br />

    明らかにお嬢様タイプ。<br />

    無視されるかと思ったけれど──<br />

    彼女は、優しく微笑んでくれた。



    それから何度か、一緒に過ごした。



    「どうして僕なんかと?」と聞いたら、<br />

    彼女は言った。



    「あなたが放つズレが、私には音楽みたいに響くの」



    その言葉で気づいた。<br />

    僕は枠にはまらない個性を、<br />

    無理やり社会という型に押し込もうとしていたんだと。



    僕の劣等感の正体は、<br />

    他者との比較だった。<br />

    毎日、光をまとった&ldquo;誰か&rdquo;を見上げては、<br />

    汚れた自分を否定し続けた経験。<br />

    それが、僕を内側から錆びつかせていた。



    ふと気づくと、僕は地下室にいた。<br />

    空間が一瞬ゆがんだ感覚。



    背後には──<br />

    目と耳を塞がれた、僕にそっくりなサイボーグが立っていた。<br />

    感情を失った&ldquo;無音の瞳&rdquo;が、こちらを静かに射抜いていた。



    奴は襲いかかってくる。<br />

    尋常じゃないスピードとパワー。<br />

    太刀打ちなどできない。<br />

    僕は逃げるしかなかった。



    そのとき、積み上げられた鉄柱のひとつが床に落ちた。<br />

    地下室に反響音が鳴り響く。



    サイボーグの動きが乱れた。<br />

    目も耳も塞がれた奴にとって、音は唯一のセンサー。<br />

    反響音が、やつの感覚を狂わせた。



    僕は鉄柱を次々と床に叩きつけた。<br />

    金属音が反響し続ける。



    奴は僕の位置を見失い、<br />

    混乱の中を彷徨っていた。



    僕は背後に回り、<br />

    鉄パイプを握った。



    「チェックメイト」



    そう呟いて、こめかみに一撃を食らわせた。<br />

    ──奴は、動かなくなった。



    次の日、<br />

    僕は会社とは&ldquo;逆方向&rdquo;に歩いていた。



    ピラミッドを背に、<br />

    自分の足で、<br />

    自分の道を歩き始めた。



    僕の中で、反響し続ける言葉があった。<br />

    「あなたが放つズレが、私には音楽みたいに響くの」



    他者の光じゃない。<br />

    自分の個性が、自分を救った。



    汚れの中でくすぶっていた&ldquo;音楽&rdquo;が、<br />

    ようやく僕の中で、鳴り始めた。