龍生の写メ日記

笑いたいのに笑わない。<br />

欲しいのに、欲しくないふりをする。<br />

そんな僕がいた。<br />

ただなんとなく、毎日を漂っていた。



ある日、<br />

ネットの片隅で見つけた仲間募集に、<br />

小さな「変わりたい」が反応した。<br />

集まったのは数人の夏。



その中に、<br />

空の色を閉じ込めたピアスをした子がいた。<br />

まぶしくて、自由で、<br />

心のままに笑う人だった。



プールに出かけた午後、<br />

水の中で彼女が突然抱きついてきた。<br />

驚いて、照れて、<br />

でもなぜか、素直に笑えていた僕がいた。<br />

忘れていた表情だった。



帰り道、空を見上げると<br />

大きなジャンボジェットが、風を切って飛んでいた。<br />

彼女がぽつりと、つぶやく。



「私、あれに乗りたくて、勉強してるの」



遊ぶ時間も、笑う時間も、<br />

彼女は全部、夢に向かうエネルギーにしていた。<br />

その姿が、僕の中のなにかを静かに変えた。



やがて仲間とは離れ、<br />

彼女は風のうわさでCAになったらしい。



今の僕は、<br />

自由で、素直に、<br />

心を表現して生きている。



──もしかしたら、あの夏の日。<br />

僕も彼女に連れられて<br />

「Flight No. be yourself」 に乗っていたのかもしれない。