会社の命令で、<br />
その街で一番大きく、<br />
美しく、光り輝く建物で働くことになった。
でも扉をくぐった瞬間、わかった。<br />
そこに差し込んでいたのは、<br />
太陽の光じゃなかった。
あれは、他人の“個性”を吸って<br />
磨かれた、偽りの輝きだった。
上層部は<br />
自分の利益だけを追い求め、<br />
毎日のように怒号を飛ばしていた。
「お前は他では通用しない」<br />
「個性なんかいらない」<br />
「お前なんか必要ない」
その言葉に、<br />
人々の目から光が消えていった。<br />
まるでバンパイアに生気を吸い取られたように。
僕もその中で、彷徨っていた。<br />
辞めたいと思っても、<br />
「自分には何もない」という呪いが<br />
頭にこびりついて、抜け出せずにいた。
光り輝いて見えたその場所は、<br />
表の顔とは違う、正体を隠した“古城”だった。
ある日、どこからか声が聞こえた。
「人と違う感性は、とても素敵なこと。<br />
個性を大事にして、<br />
自分を信じて前に進みなさい」
その声に呼ばれるように、<br />
僕の中の何かが目覚めた。
右手には、<br />
闇を切り裂く光の剣が現れた。<br />
左手には、<br />
邪気を吸い取り、真の姿を暴く人面瘡が浮かび上がった。
僕は<br />
個性を否定し、<br />
怒号で生気を奪う者たちに立ち向かう<br />
ハンターDとなった。
古城に足を踏み入れ、<br />
人面瘡で邪気を吸い、<br />
やつらの“本当の姿”をあらわにする。
右手の剣が<br />
怒号を、罵声を、恐れを切り裂いていく。
そのとき——<br />
古城は、崩れ去った。
僕は、自由になった。
それからというもの、<br />
僕は傷だらけのまま、荒野を駆けている。
でも、もう怖くはない。
この手には<br />
個性に光を与える剣があり、<br />
誰かの“違い”を見抜ける目がある。
そうして今日もまた<br />
小さな声を頼りに<br />
誰かのために、<br />
静かに剣を抜いている。
龍生の写メ日記
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古城と個性と、ハンターD龍生